年収約770万円未満なら…毎月の介護費用「平均8万3,000円」→「4万4,400円」まで減らせる、国の“知っ得”な制度【経済ジャーナリストが解説】

年収約770万円未満なら…毎月の介護費用「平均8万3,000円」→「4万4,400円」まで減らせる、国の“知っ得”な制度【経済ジャーナリストが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

何かと不安の多い「介護費用」ですが、制度を活用することで自己負担額を減らすことができます。“家計の専門家”として活躍する経済ジャーナリストの荻原博子氏が、「老後」にまつわる心配事と上手く向き合うための必須知識を伝授します。今回は、介護にまつわる費用について詳しく見ていきましょう。

実際の介護費用は、予想よりも少なくすむことが多い

そろそろ親の介護が見えてきた、いよいよ介護しなければ、となると、これから必要になるであろう親の「介護費用」が心配という人は多いことでしょう。

 

「生命保険に関する全国実態調査」(生命保険文化センター2021年度・速報版)が、世帯主または配偶者が要介護になったら介護費用はどれくらいかかると思うかというアンケートを行ったところ、平均で3,311万円。1人約3,000万円と考えても、2人なら約6,000万円。

 

しかも、なんと1人5,000万円以上必要と答えた人が、約1割いました。2人なら1億円以上です。

 

「そんなお金、とても用意できないよ」という悲鳴が聞こえてきそうです。

 

けれど、心配しなくても大丈夫。

 

同じアンケートの中で、すでに介護を経験した人たちにどれくらいの費用がかかったのかを聞いています。これを計算してみると平均581万円。内訳は、一時的にかかった費用が平均で74万円、月々が平均8万3,000円、介護期間は平均で61.1ヵ月でした。

 

では、なぜこれほど予想と現実の間に差があるのでしょう。たぶん介護をしたことがない人は、「介護保険」のことをよく知らないからでしょう。

「介護保険」によってサービスは割安に

「介護保険」は、40歳以上になると全員加入する社会保険で、65歳以上になって介護が必要になると、割安にサービスを受けられる制度です。40歳以上でも、介護保険対象の病気(認知症など特定疾病)で「認定」を受けた場合には、対象となります。

 

「介護認定」されると、要支援1〜2、要介護1〜5と7段階でサービスを受けることができます。

 

たとえば、在宅サービスで利用できる上限額は、図表1のように決まっています。

 

出所:『老後の心配はおやめなさい』(新潮社)より抜粋
[図表1]在宅サービスで利用できる上限額 出所:『老後の心配はおやめなさい』(新潮社)より抜粋

 

在宅での介護は大変なので、ホームヘルパーの利用や入浴などの「訪問サービス」、デイケア施設などを利用する「通所サービス」、施設に短期間預ける「短期入所サービス」などを組み合わせて行いますが、利用上限額は状況によって変わります。

 

要支援とは、現時点では介護は必要ではないけれど一部支援が必要な状況。要介護は、介護が必要な状況で、要介護1は食事やトイレは自分で出来ても、認知能力や運動能力の低下が見られる状態、要介護5とは意思疎通も困難な寝たきりの状態です。

 

各段階で、サービスに対して1割、2割、3割の自己負担があります。収入が多い人ほど、自己負担額は多くなっています。

 

たとえば、要介護3で27万円のサービスを受けた場合、1割負担の人は2万7,000円、2割負担の人は5万4,000円、3割負担の人は8万1,000円を自己負担することになります。

 

ただし、負担があまり大きくなると大変なので、2割負担、3割負担になったからといって、前述のように5万4,000円、8万1,000円に増えるのかというと、そうではありません。

次ページ「高額介護サービス費制度」を活用しよう

※本連載は、荻原博子氏による著書『老後の心配はおやめなさい』(新潮社)より一部を抜粋・再編集したものです。

老後の心配はおやめなさい

老後の心配はおやめなさい

荻原 博子

新潮社

親の介護に必要な額が3000万円?! 準備すべき自分の老後資金は2000万?! わずかな年金だって破綻したらどうする?! 増えない貯金、揉める相続、かさむ医療費……その心配、本当にするべきなのでしょうか。不安になるのは知らない…

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