(※画像はイメージです/PIXTA)

政府・与党が、加熱式たばこの「たばこ税」を紙巻きたばこと同じ水準に引き上げる方向で検討に入ったことがわかりました。もし決定すれば、2026年以降に行われる可能性があるとされます。しかし、過去の歴史をみると、たばこ税の増税が必ずしも税収増加につながっていないことがわかります。本記事では、たばこ税の増税の効果について、たばこ消費量等のデータにも触れながら解説します。

小売価格の60%超を占める「たばこ税」

たばこ税は、国税である「たばこ税」と「たばこ特別税」、地方税である「都道府県たばこ税」「市区町村たばこ税」に分けられます。

 

たとえば、1箱20本入り・580円(消費税込)の商品だと、たばこ税の税負担の内訳は以下の通りです(JTウェブサイト「たばこ税の仕組み」参照)。

 

【紙たばこ20本入り1箱・580円(消費税込)の商品のたばこ税の内訳】

・たばこ税(国):136.04円

・たばこ特別税(国):16.4円

・地方たばこ税(都道府県・市区町村):152.44円

 

たばこ税だけで52.6%を占めているということです。

 

また、このほかに、「内税」として消費税(52.72円・9.1%)が価格転嫁されています。これも含めると、購入代金のうち61.7%が税金ということになります。

 

たばこ税は「過去38年で15倍」

たばこ税は過去38年で15倍になっています。すなわち、紙巻たばこ1本あたりのたばこ税は、1985年時点で1.132円でしたが、徐々に引き上げられてきた結果、2022年10月に現行の15.244円に至っています([図表1]参照)。

 

日本たばこ産業株式会社(JT)「Fact Sheets 2017」「Fact Sheets 2020」をもとに作成
[図表1]紙巻たばこのたばこ税(たばこ税、地方たばこ税、たばこ特別税)の税率の推移 日本たばこ産業株式会社(JT)「Fact Sheets 2017」「Fact Sheets 2020」をもとに作成

 

加熱式たばこについては軽い税率が適用されてきましたが、いずれも段階的に引き上げられてきました([図表2]参照)。その結果、2022年10月以来、加熱式たばこのたばこ税は、紙巻きたばこの7割~9割程度となっています

 

国税庁HP「たばこ税等に関する資料」より
[図表2]加熱式たばこ、軽量葉巻の税率引き上げ 国税庁HP「たばこ税等に関する資料」より

 

このように、たばこ税は1985年以降引き上げられ、38年間で15倍になっています。なぜ、このような大幅な増税が認められるかといえば、たばこが「財政物資」と扱われているからです。

 

「財政物資」とは、税金をかけても国民生活へのダメージが小さく、国の財源確保のために、税負担を柔軟に決めてよいものをさします。

 

たばこは特殊な嗜好品であり、生活必需品ではありません。また、成人病のリスクや受動喫煙の問題も指摘されています。したがって、税金を重くしても国民生活にダメージを与える可能性が低く、税率を柔軟に設定してよいと考えられているのです。

 

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