(※写真はイメージです/PIXTA)

超少子高齢社会となって久しい日本で、深刻化する「親の介護」問題。『高齢社会白書』(令和5年版)や事例とともに解説していきます。

「まずはウチで面倒を見よう」から始まった壮絶な日々

Bさんはすぐに現状を家族へ伝えました。その週末、夫とともに義両親宅へ再訪。現状を見た夫も愕然とした様子だったといいます。

 

「まずはウチで面倒を見よう、という話になりました。子どもたちも独り立ちしていて、部屋自体は余っていたんです。ベッドもあるし、まずは私たちの家で暮らしてもらおうと。……その選択は誤りだったと、私は思っています」

 

介護のシーンではお金以上に「時間」も深刻な問題です。厚生労働省『2022年 国民生活基礎調査の概況』によると、在宅介護にかける時間は「ほとんど終日」が19.0%、「半日程度」が11.1%、2~3時間程度が10.9%です。また、要介護4では41.2%が「ほとんど終日」要介護5では63.1%が「ほとんど終日」と回答しています。

 

終日介護に追われるような生活だと、介護者は趣味・娯楽を諦めざるをえなくなり、さらには仕事を続けることすら難しくなってしまいます。Bさんもまさにその一人でした。

 

「お義父さん、わかってはいたんですが、お酒もタバコもすごいんです。ジッと座って、お酒とタバコを呑み続ける。ウチはもともと誰もタバコを吸わない家庭だったので、匂いに耐えられませんでした。……あとオムツ。下の世話が一番キツかったことは言うまでもないです」

 

「お義母さんは……お義父さんと逆で、うろつくんです。家の中を。基本、穏やかなんですが、認知症の初期症状だろうなと感じるというか、ひたすら整理整頓らしきことをしている。といっても、右にあるものを左に移して、ちょっと時間が経ったら、左にあるものを右に移してといった様子で、部屋は綺麗にはなりません。それに物忘れが激しいときと、そうでないときの差が激しくて、本人もストレスだったんだと思います。急に怒りだすことも一度や二度じゃありませんでした」

 

前述の調査によると、主な介護者は、「同居」が一番多く45.9%。内訳は「配偶者」22.9%、「子」16.2%、「子の配偶者」5.4%、「父母」0.1%となっています。次いで「事業者」15.7%、「別居の家族等」11.8%です。

 

「土日は主人が介護を手伝ってくれますが、平日はそうはいかない。ちょっと転んで骨折したら、救急車を呼ぶのは私。発熱しても、病院に連れていくのは私。お腹すいたと言わて、ご飯を作るのも私です。夫への理不尽な苛立ちも止まらなくて、イライラしている自分にも嫌気がさす。自分の時間はまったくない。地獄でした」

 

そんな折、「我慢の限界がきた」とBさんは話します。

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