(※写真はイメージです/PIXTA)

超少子高齢社会となって久しい日本で、深刻化する「親の介護」問題。『高齢社会白書』(令和5年版)や事例とともに解説していきます。

今思えば些細なことだったんです…

「本当に、今思えば些細なことだったんです。夏のお昼、いつものとおりお義父さんは椅子に座ってお酒を吞んでいて、お義母さんは近くでぼーっとしていた。私は洗濯物を畳んでいました。そのとき、お義父さんがむせたんです。ゲホッゲホって言って、あれは缶チューハイだったかな、口からこぼしちゃった。床に液体が広がっちゃったので、雑巾を持って私が拭きにいきました」

 

「『お義父さん足元失礼しますね』と言って、すこし脚をずらしました。私が屈んで拭こうとしたそのとき、頭上からオエッって聞こえて。次の瞬間、むせたのか、吐いたのか、お義父さんの口から出たものが私の頭に降ってきました」

 

「一瞬何が起きたのかわからなくて、手で頭を触ったら、濡れている。『あー』と思いました。『あーもう、ダメだ』って」

 

その夜にBさん、「限界かもしれない」と夫に今までのことを洗いざらい話ました。恐らくBさんの限界も伝わっていたのでしょうか、一通り話を聞いたのち、夫は「わかった」と一言。「2人とも、老人ホームに入ってもらおう」と提案したのです。

 

Bさん家庭、生活に困っているわけではありませんが、だからと言って裕福なわけでもありません。むしろ一時期自営業だったこともあり、老後の年金生活に強い不安を抱いています。それでもなお、親に老人ホームに入居してもらおうと決めたのです。

 

「辛い気持ちもありましたが(夫のほうがしんどかったと思います)、老人ホームに入居していただくことにしました。入居一時金や月々の支払いは私たちの貯金から切り崩します。義両親の年金も月十数万円あるので、多少のゆとりはありますが、私たちの老後資金が減っていくことは確かです」

 

「親戚からのバッシングはすごかったです。そもそも地方から呼び寄せたこと自体、主人の親戚は快く思っていなかったみたいですから。義両親の面倒を見てくれるわけでもないのに、主人は『親不孝者』とまで言われたらしくて、正直、どこまで失礼な人たちなんだろうと思いました」

 

「自分たちのお金が減ってしまうのはもちろん困ります。けれど今の生活がままならなくなってしまったら、元も子もないじゃないですか。自分の時間を一切持てない生活を送るぐらいなら、多少なりとも老後資金を手放そうと選択したんです」

 

厚生労働省『厚生年金保険・国民年金事業の概況』(令和3年度)によると、平均年金月額は厚生年金が14万5,665円、国民年金が5万6,479円となっています。

 

では、介護施設代はいくらなのでしょうか。

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