建物「全体」の耐震性を強化する耐震補強工事

前回は、人気の「ビルトインガレージ」では入居前の入念な耐震診断が必要な理由について説明しました。今回は、建物「全体」の耐震性を強化する耐震補強工事について見ていきます。

耐震性は建物全体の「強さのバランス」を考える

ポイント⑪ 耐震性をアップさせる「耐震補強工事」

 

建物の耐震性を測定する耐震診断。これは、建物の各階および各方向の壁面の強さを数値化することによって行います。

 

耐震診断を行った結果、耐震性が不足しているとなれば、補強工事が必要です。これは、診断で見つけ出した弱い壁面を、筋交や構造用合板などを使って補強する工事のことです。耐震性とは、建物全体の強さのバランスだと考えていただければよいでしょう。

 

たとえば、建物1階の北側の壁面の評点が1・6だとしても、反対側の南側の壁面の評点が0・9だとすると、片面ばかりが強いことからくるバランスの悪さで、耐震性が低くなってしまいます。逆に、北側が1・2であっても、南側が1・1であればバランスがよく、耐震性は高いことになります。

 

本来は、評点の数値は大きいほどよいのですが、片方ばかりがよくてもバランスがとれていないため、トータルとしての耐震性は低くなるのです。

 

こうした場合、耐震補強工事は、各階の各壁面の強さのバランスを考慮しながら補強工事を進めなくてはなりません。

中古住宅の工事に取り掛かる前に行いたい「耐震診断」

ポイント⑫ 中古の場合は耐震補強工事の前に耐震診断が必要

 

中古住宅を購入する際に、確認していただきたいポイントのひとつが、新耐震基準で建てられているかどうかです。

 

1981年以前に建てられた旧耐震基準の住宅だと、耐震補強工事をする場合にも、相当な費用が発生してしまいます。その費用も購入費用として考えた場合、それでも購入したいかという点を検討すべきだと思います。

 

次に、購入することを決定したうえで、耐震補強工事に進む場合の注意点についてお話ししましょう。

 

リフォーム業者の中には、「長年やっているから、知り尽くしている」といったことを言う人が少なくないようです。しかし、これでは工事の前後で耐震性がアップしたのかを確認する方法もありません。

 

また、なんとなく耐震金物や筋交を取り付けたとしても、必要な箇所が補強されていなければ、状況は改善されません。しかも、工事のやり直しなどになると、費用がムダになるのはいうまでもありません。

 

まず、補強工事に取り掛かる前に、必ず、耐震診断を行うようにしてください。

 

どの場所を、どのように補強工事を行えば、耐震性が確実に上がるのか。現状、不足している耐震性を評点1・5以上にすることができるのか。施主となる自分自身が、この必要性を理解したうえで、工事に入ってもらうように進めましょう。そうでなければ、効果的な耐震補強工事はできません。

 

もし、耐震診断を行わずに、補強工事を行ってしまった場合は、これからでもいいので、耐震診断をされることをおすすめします。そのうえで、もしも耐震性が不足している場合には、あらためてリフォーム業者へ交渉してみてください。

本連載は、2015年6月25日刊行の書籍『こんな建売住宅は買うな』から抜粋したものです。その後の法律・条例改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

レジデンシャル不動産法人株式会社 代表取締役

仲介手数料無料ゼロシステムズを運営して首都圏全域の不動産仲介と建物診断を行う。不動産業界に20年以上従事しており、物件の売買実績は1000件以上。そこで得た経験をもとに“田中式建物診断”という独自の建物診断を提唱している。欠陥住宅の購入を防ぐ欠陥住宅の専門家として知られ、独自の建物診断の第一人者として、ラジオ、テレビ、雑誌、書籍等多数のメディアで活躍している。

著者紹介

連載住宅購入前に耐震強度を見極める15のポイント

こんな建売住宅は買うな

こんな建売住宅は買うな

田中 勲

幻冬舎メディアコンサルティング

注文住宅と比べて安く購入できる建売住宅は、特に地価の高い都心近郊で人気がありますが、実は流通している住宅の大部分が目に見えない欠陥・不具合を抱えているのが実情です。 実際に、断熱材のズレ・不足や、準防火地域にお…

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