(※写真はイメージです/PIXTA)

いつの時代もなくならない相続トラブル。親/子ども/きょうだいと、死後のことを話すのは気まずい…。といった声は多いものですが、生前対策を怠ってとんでもないトラブルに巻き込まれる事例が相次いでいます。そこで本記事では相続対策の「基本のキ」を紹介していきます。

「お義母さんの言うとおり」のはずが…まさかの展開に

「自宅さえあればいい。私もまだ働けるし、貯金もあるし、老後資金はどうにか工面しよう。できるだけお義母さんの言うとおりに遺産を渡そう」……そう決意したAさん。話し合いの場を設けることにしました。

 

ところが、またもや急展開が。夫の急死後わずか2ヵ月足らずで、義母が亡くなってしまったのです。結局、自宅や現金は遺言のとおりAさんが相続し、決着となりました。

 

「義母の死にホッとしている自分が心底嫌です」と正直な胸の内を明かすAさん。現在は、夫の思い出溢れる住まいに、一人静かに暮らしています。

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……この事例は相続トラブルの典型例といえましょう。義家族の言動が大変に不義理なものだったとしても、相続人「血族」であることは変わりありません。上記の事例では、義母にも当然相続権が発生します(ちなみに相続順位は「子>父母・祖父母>兄弟姉妹・姪や甥」です)。

 

たとえ夫婦間の関係性が良好でも、「義家族とはどうにも……」という方も少なくないでしょう。疎遠だった親戚と遺産めぐってドロ沼争いは何とも避けたいものです。

 

■生前対策の重要性

 

本事例は相続人が生前対策をしてもなお揉めてしまいましたが、遺言書の作成は相続トラブルを回避するための重要施策のひとつです。

 

自分で手書きで書く「自筆証書遺言」(民法第968条)のほかに、公証役場で公証人という方に作成してもらう「公正証書遺言」(民法第969条)があります。これにより、公証役場に遺言の写しが残ります。

 

公正証書による遺言であれば、紛失してしまうとか、見つけた人が破いて捨ててしまうといった、自筆証書遺言に生じがちな心配もなくなります。

 

また最近、自筆証書遺言書保管制度が誕生しました。その名の通り、自筆証書遺言について、法務局に預かってもらうことができる制度です。紛失等のリスクを防ぐことができます(遺言書保管法)。

 

もし、公正証書等にせず自筆証書遺言を作成するようであれば、遺言は原則手書きでないと無効であること、日付・氏名の記載が必要であること等に注意してください。ただし、最近の法律改正で、どのような財産があるかを記載する財産目録については、手書きでなくても大丈夫ということになりました(民法968条2項)。(櫻井俊宏・幻冬舎ゴールドオンライン連載『「迷惑です」70歳で再婚した父が死去…後妻の暴挙に子は激怒』)

 

■「使い切る」という手も

 

遺産を大切な家族に残すことはもちろん重要ですが、相続案件を扱うプロに話を聞くと、「結局、使い切ってしまう(財産をなくしてしまう)のが一番」という声も聞かれます。現金の分割もさることながら、不動産の相続などでは全員が全員満足することは難しいものです。問題の種をあらかじめ摘んでおくのも一手ではないでしょうか。

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