今年からはじまった「固定資産税が3分の1になる」制度…必ず申請すべき!とはいえないワケ【税理士が解説】

今年からはじまった「固定資産税が3分の1になる」制度…必ず申請すべき!とはいえないワケ【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

令和5年度の税制改正で導入された、中小企業の「固定資産税減税制度」。“最大5年間、固定資産税が3分の1になる”と聞くと、節税対策に効果的であるように思えます。しかし「実はそうともいえない」と、税理士法人グランサーズの共同代表で税理士・公認会計士の黒瀧泰介氏はいいます。いったいなぜでしょうか。詳しくみていきます。

新制度、実際どれくらい「節税」できるの?

――だいたいの仕組みはわかったんですけど、実際どれくらいの節税になるんでしょうか?

 

黒「そこが気になるところですよね。シミュレーションしていきましょう。固定資産税の計算は[前掲図表2]のとおりですので、たとえば課税標準額が1,200万円のとき、通常の場合と特例が適用された場合の計算は、それぞれ下記のようになります。

 

出所:筆者作成
[図表2]固定資産税の評価額の計算式(再掲) 出所:筆者作成

 

■通常支払う固定資産税

……1,200万円×1.4%=16万8,000円

 

■新制度適用後

……1,200万円×3分の1×1.4%=5万6,000円

 

通常支払う固定資産税は16万8,000円ですが、新制度適用後は5万6,000円になります」

 

――10万円ほどの節税になるんですね。

 

保有している固定資産の規模によっては、そこまでメリットがない可能性も…

黒「ただ、保有している固定資産の規模によっては、そこまでメリットがない可能性もあります。

 

たとえば、工場などの場合は固定資産がたくさんあるので、その分課税標準額が多いため、この制度の恩恵は大きくなります。しかし反対に、固定資産が少ない事業者の場合は減税される金額も少ないため、メリットは小さいといえます。たとえば課税標準額が210万円の場合、

 

■通常支払う固定資産税

……210万円×1.4%=2万9,400円

■新制度適用後

……210万円×3分の1×1.4%=9,800円

 

このように、約2万円分の節税にしかなりません」

 

――うーん、計画書を作ったり申請したり、いろいろな手間を考えると、逆に損になるくらいの金額ですね。

 

黒「はい。ですので、申請を考えている方はご自身の事業規模なども考慮しつつ、検討することをおすすめします」

 

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黒瀧 泰介

税理士法人グランサーズ共同代表/公認会計士・税理士

 

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※本記事は、YouTube『社長の資産防衛チャンネル【税理士&経営者】』より動画を一部抜粋・再編集したものです。

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