今年からはじまった「固定資産税が3分の1になる」制度…必ず申請すべき!とはいえないワケ【税理士が解説】

今年からはじまった「固定資産税が3分の1になる」制度…必ず申請すべき!とはいえないワケ【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

令和5年度の税制改正で導入された、中小企業の「固定資産税減税制度」。“最大5年間、固定資産税が3分の1になる”と聞くと、節税対策に効果的であるように思えます。しかし「実はそうともいえない」と、税理士法人グランサーズの共同代表で税理士・公認会計士の黒瀧泰介氏はいいます。いったいなぜでしょうか。詳しくみていきます。

実は“改悪”された?以前もあった「減税制度」との違い

黒「実は認定されると基本は「3年間、課税標準が2分の1」でして、計画に賃上げ表明に関する記載がある場合、「最長5年間で3分の1」になります

 

出典:令和5年度 経済産業関係 税制改正について
[図表5]特例措置のルール 出典:令和5年度 経済産業関係 税制改正について

 

――なるほど。賃上げすることを計画に入れていれば、軽減幅が大きくなるんですね。

 

黒「そういうことです。そして、この「賃上げ」というのは、「雇用者全体の給与が1.5%以上増加すること」をいいます。

 

――では、申請したい場合はどのような流れになりますか?

 

固定資産税が3分の1に軽減される措置を受けたい場合、下記の[図表6]のとおり

 

1.賃上げ方針を策定して従業員へ表明し、従業員が賃上げ方針の表明を受けたことを確認

2.市区町村へ申請、賃上げ表明したことを証する書面を添付

3.計画認定

 

という流れになります。

 

出典:中小企業庁「【中小企業等経営強化法】 先端設備等導入計画について」p8
[図表6]固定資産税の特例を申請するまでの流れ 出典:中小企業庁「【中小企業等経営強化法】 先端設備等導入計画について」p8

 

また、特例の適用期限は2年間、令和7年3月31日までに取得したものが対象です。少し注意してもらいたいのですが、令和6年3月31日までに設備取得した場合特例の適用期間は5年間ですが、令和7年3月31日までに設備取得した場合は4年間となります

 

――じゃあ長く適用期間を受けたい人は、2024年の3月31日までにやらないといけませんね。ちょっと計画作ったり書類出したりが面倒ですけど、「最長5年・3分の1に軽減される」のはなかなか大きいんじゃないですか? ありがたいですねえ。

 

黒「それが実は……これまでも固定資産税を減税する制度があったんです。というよりむしろ、そのときは固定資産税はゼロ円でした

 

――えっ、ゼロ円ですか? じゃあつまり、制度が改悪されたってことじゃないですか。

 

黒「まあ、そうですね……。ただ、見方を変えれば、“多少条件は悪くなっても税制優遇が続いてラッキー”とも考えられるかもしれません。制度を利用したほうがメリットがあるので、ものは考えようかなと思いますね」

 

「先端設備等導入計画」の3つの条件

黒「ここで、「先端設備等導入計画」について少しだけ補足させてください。計画内容については、3つの条件が指定されています。

 

1.基本方針及び導入促進基本計画に適合するものであること

2.先端設備等の導入が円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること

3.認定経営革新等支援機関(商工会議所、商工会等)において事前確認を行った計画であること

 

という要件があります。また市区町村によって対象設備が異なる場合もあるので、よく確認してから制度を利用してください」

 

――わかりました。他に“美味しい情報”ってないですか……?

 

黒「ありますよ。実は4月からの新制度で要件が少し“緩和”されました。もともとは、工業会等から生産性向上要件を満たす設備であることを証明する「工業会等による証明書」の発行を受けることが必要でしたが、新制度ではその証明書が不要となりました」

 

――手間が減ったのはいいですね。

 

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※本記事は、YouTube『社長の資産防衛チャンネル【税理士&経営者】』より動画を一部抜粋・再編集したものです。

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