(※写真はイメージです/PIXTA)

ウクライナ侵攻やイスラエル・ハマスの軍事衝突など世界情勢が悪化するなか、株式会社武者リサーチ代表の武者陵司氏は「経済においても株式においても、日本はいま“もっとも明るい国”であるといえる」「2024年に向けても日本株優位は続く」といいます。その根拠や背景について、詳しくみていきましょう。

米国が円安を容認…2024年も「数量景気」加速か

第2に外部環境、日本を巡る地政学環境の大変化がある。

 

米中対立が深刻化し、かつて日本たたきに狂奔した米国が、対中デカップリングのために強い日本を必要とし、そのための円安を容認するようになったのである。

 

大幅な円安の定着により、日本経済の大きな枠組みが変わった。円高が原因となったデフレの時代が終わり、2023年の日本経済はバブル崩壊後もっとも明るい数量景気の年となっているが、2024年はそれが加速するだろう。

 

Jカーブ効果により円安初期の価格面でのマイナス場面が終わり、数量増の乗数効果が表れる後半の時期に入っている。

 

円高で日本から海外に逃げて行った工場や資本、ビジネスチャンス、雇用が、円安によって日本に戻ってきつつある。円安はまた、インバウンドを増加させ、外国人観光客が日本の津々浦々の地方内需を刺激している。

 

出所:OECD、武者リサーチ
[図表5]購買力平価とドル円レート推移 出所:OECD、武者リサーチ 

 

“強い日本”を象徴する「トヨタの6割増益」

この日本企業の急回復の象徴がトヨタの利益急増である。トヨタは2024年3月期の連結純利益予想を3兆9,500億円(前期比61%増)、従来予想比5割増となる上方修正を発表した。

 

これは過去最高益を4割も上回るものであり、為替前提などからみてさらなる上方修正の余地を残している。半導体不足解消による生産増、車の機能向上に伴う値上げが貢献した。

 

米国での23年7〜9月の平均販売価格は4万674ドル(約610万円)と、4年間で19%上昇した(Wards Automotive News)。過当競争で採算悪化が進行している中国とは逆に、消費者の購買力が旺盛な米国での販売基盤の強さ、及びブランドロイヤリティの高さがものをいっている。

 

大幅な円安がそれに拍車をかけた。半期ベースの売上高純利益率は、トヨタ11.8%と、多額の補助金の恩恵を受けるテスラの9.4%を上回った。時価総額2倍以上の市場の寵児テスラを上回るトヨタの収益力は、日本企業の稼ぐ力の向上をうかがわせる。

 

EV投資にともなう負担は今後本格化する。トヨタは30年までにEVだけで5兆円を投資するとしている。本格化するEV投資競争においては、持続的なキャッシュ創出力が勝利の決め手となる。日本の時代到来を示唆する出来事といえる。

 

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武者 陵司

株式会社武者リサーチ

代表

 

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※本記事は、武者リサーチが2023年11月6日に公開したレポートを転載したものです。
※本書で言及されている意見、推定、見通しは、本書の日付時点における武者リサーチの判断に基づいたものです。本書中の情報は、武者リサーチにおいて信頼できると考える情報源に基づいて作成していますが、武者リサーチは本書中の情報・意見等の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について、武者リサーチは一切責任を負いません。本書中の分析・意見等は、その前提が変更された場合には、変更が必要となる性質を含んでいます。本書中の分析・意見等は、金融商品、クレジット、通貨レート、金利レート、その他市場・経済の動向について、表明・保証するものではありません。また、過去の業績が必ずしも将来の結果を示唆するものではありません。本書中の情報・意見等が、今後修正・変更されたとしても、武者リサーチは当該情報・意見等を改定する義務や、これを通知する義務を負うものではありません。貴社が本書中に記載された投資、財務、法律、税務、会計上の問題・リスク等を検討するに当っては、貴社において取引の内容を確実に理解するための措置を講じ、別途貴社自身の専門家・アドバイザー等にご相談されることを強くお勧めいたします。本書は、武者リサーチからの金融商品・証券等の引受又は購入の申込又は勧誘を構成するものではなく、公式又は非公式な取引条件の確認を行うものではありません。

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