(※写真はイメージです/PIXTA)

ウクライナ侵攻やイスラエル・ハマスの軍事衝突など世界情勢が悪化するなか、株式会社武者リサーチ代表の武者陵司氏は「経済においても株式においても、日本はいま“もっとも明るい国”であるといえる」「2024年に向けても日本株優位は続く」といいます。その根拠や背景について、詳しくみていきましょう。

失われた30年…“世界の劣等生”であり続けた日本

このように世界的な不安の種が大きければ大きいほど、日本の明るさが浮上する、という珍しい事態が起きている。

 

過去30年間日本は世界の劣等生であり続けた。世界で唯一長期デフレに陥り、名目GDPは30年間の長きにわたって500兆円強と横ばいで推移し続けた。世界で唯一30年にわたって賃金上昇が止まり、韓国にも追い抜かれるという有様であった。

 

世界株式のバスケットであるMSCI ACインデックスのなかで、かつて40%を超えていた日本の比率は5%とほぼ10分の1まで低下した。

 

この間世界の投資家は日本株を売り続け、日本株比率を引き下げれば運用競争に勝てたのである。日本人だけでなく、世界の投資家にも日本軽視、日本無視の態度が染みついてしまっている。

 

その日本が突如として世界最高ブライトスポットになりつつある。[図表2]はTOPIX対S&P500指数の倍率であるが、1990年に8.3倍でピークをつけたあと、急低下し2022年初に0.42倍まで低下して大底をつけた模様である。

 

その後急伸し、現在は0.54倍となっている。この日本の変化が持続性があると信じていいのか、世界の投資家は耳目をそばだてている。

 

出所:ブルームバーグ、武者リサーチ
[図表2]日米株価倍率(TOPIX/S&P500)推移 出所:ブルームバーグ、武者リサーチ

 

出所:財務省、武者リサーチ
[図表3]日本企業経常利益率推移 出所:財務省、武者リサーチ

アベノミクス以降、大きく体質を改善させた日本企業と日本経済

いったい日本になにが起きたのであろうか。2つの大変化に注目するべきである。第1は主体的変化である。

 

2013年以降のアベノミクスの時代に、日本企業と経済は大きく体質を改善させた。企業は改革と新ビジネスモデルの構築により、利益率は2倍になり、過去最高利益を更新し続けている。

 

公的年金GPIFの運用益は108兆円と4倍増となった。税収は10年間で7割増となった。遅れていた賃金上昇も始まり、2%インフレが視野に入りつつある。

 

多くの日本企業は物まねではない独創的なビジネスモデルを打ち立て、企業統治の改革が大きく前進し、株主の要請にこたえうる収益力を確保するに至っている。この企業で形成された価値は、いまのところ潤沢な内部留保として、退蔵されている。

 

この企業に滞留する所得の還流を促進するべく、岸田政権は、貯蓄から投資へという好循環を引き起こす、新しい資本主義政策を遂行している。

 

①賃金引上げ促進

②PBR1倍以下企業の是正措置要求、自社株買い、増配促進等利益還元の誘導

③NISA改革など投資促進

 

により、日本株の株式需給は大きく改善されるだろう。

 

出所:各政府機関発表より武者リサーチまとめ
[図表4]日本の経済指標、アベノミクス以降の顕著な工場 出所:各政府機関発表より武者リサーチまとめ

 

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※本記事は、武者リサーチが2023年11月6日に公開したレポートを転載したものです。
※本書で言及されている意見、推定、見通しは、本書の日付時点における武者リサーチの判断に基づいたものです。本書中の情報は、武者リサーチにおいて信頼できると考える情報源に基づいて作成していますが、武者リサーチは本書中の情報・意見等の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について、武者リサーチは一切責任を負いません。本書中の分析・意見等は、その前提が変更された場合には、変更が必要となる性質を含んでいます。本書中の分析・意見等は、金融商品、クレジット、通貨レート、金利レート、その他市場・経済の動向について、表明・保証するものではありません。また、過去の業績が必ずしも将来の結果を示唆するものではありません。本書中の情報・意見等が、今後修正・変更されたとしても、武者リサーチは当該情報・意見等を改定する義務や、これを通知する義務を負うものではありません。貴社が本書中に記載された投資、財務、法律、税務、会計上の問題・リスク等を検討するに当っては、貴社において取引の内容を確実に理解するための措置を講じ、別途貴社自身の専門家・アドバイザー等にご相談されることを強くお勧めいたします。本書は、武者リサーチからの金融商品・証券等の引受又は購入の申込又は勧誘を構成するものではなく、公式又は非公式な取引条件の確認を行うものではありません。

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