(※写真はイメージです/PIXTA)

「新産業革命」や財政拡大、株高など、米国経済は“好調すぎる状態”が続いています。こうしたなか、米国経済の「バブル化」の可能性を指摘するのが、株式会社武者リサーチ代表の武者陵司氏です。その根拠について、詳しくみていきましょう。

米国経済は“好調すぎる”状態?…利下げは9月まで見送りか

米国経済は完全雇用のもとインフレも沈静化しつつあり、ソフトランディングの可能性が高まっている。雇用好調だがいまのところ賃金上昇は加速していない。

 

3月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月比30.3万人増と、市場予想(20万人増)を大きく上回った。雇用は全産業で増加している。平均時給は前年比4.1%増と、2月の4.3%から低下した。移民の増加や労働参加率の改善などの供給増も寄与している。

 

しかしいままでのベストシナリオであった経済の底堅さは、今後のリスクシナリオに転換するかもしれない。この成長ペースが続けばいずれ物価が加速する可能性が高い。

 

またバラ色シナリオがバブルの種を作る。2023年GDP2.5%に続き2024年1Qはアトランタ連銀によるGDPナウでは2.5%と好調である。地区連銀総裁は相次いで、インフレ高止まりや好労働需給に言及し、利下げを急ぐべきではないと強調しはじめた。

 

実際、3月のCPIは、前年比3.5%上昇と2月の3.2%から加速、市場予想3.4%を上回った。ガソリンと住居費の上昇が主因だが、賃金の下げ止まりによりFRBが気にしているコアサービス価格の上昇率が高まっており、利下げ遅延観測を強めている。市場ではFRBが9月まで利下げを見送るという観測が強まった。

 

出所:米国労働省、武者リサーチ
[図表1]全セクターで増加する雇用/[図表2]下げ止まるコアサービスインフレ 出所:米国労働省、武者リサーチ

金・ビットコイン価格の高騰は「投機化」のサイン

年初の米国株式の急騰とともに、米国金融市場では投機色が強まっている。金価格は年初来14%と急騰し史上最高値を更新した。

 

米国の物価指標が市場の想定を上回り、インフレ懸念が再浮上したこと、中国やロシア、トルコなど新興国中央銀行による金買い、株バブル崩壊に備えたリスクヘッジ等、が指摘されている。株価の低迷や不動産市場の悪化などで「有効な選択肢を欠く中国の投資家が金を買っている」との説もある。

 

昨年は3万2,000ドルから4万ドル未満で推移していたビットコインも、年明け以降急騰を始め3月末には7万ドルと半年で2倍になり、2021年11月につけた過去ピークを更新した。

 

金・ビットコインというまったくキャッシュを生まない資産価格の急騰は、市場が投機化しているシグナルと受け止められる。

 

また投資資金は潤沢で家計の豊富な貯蓄がMMFを通して米国国債に流入している。

 

出所:ブルームバーグ、武者リサーチ
[図表3]高騰する金相場/[図表4]投機化するビットコイン価格 出所:ブルームバーグ、武者リサーチ

 

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次ページ“好調すぎる”米国経済を生んでいる要因とは?

※本記事は、武者リサーチが2024年4月15日に公開したレポートを転載したものです。
※本書で言及されている意見、推定、見通しは、本書の日付時点における武者リサーチの判断に基づいたものです。本書中の情報は、武者リサーチにおいて信頼できると考える情報源に基づいて作成していますが、武者リサーチは本書中の情報・意見等の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について、武者リサーチは一切責任を負いません。本書中の分析・意見等は、その前提が変更された場合には、変更が必要となる性質を含んでいます。本書中の分析・意見等は、金融商品、クレジット、通貨レート、金利レート、その他市場・経済の動向について、表明・保証するものではありません。また、過去の業績が必ずしも将来の結果を示唆するものではありません。本書中の情報・意見等が、今後修正・変更されたとしても、武者リサーチは当該情報・意見等を改定する義務や、これを通知する義務を負うものではありません。貴社が本書中に記載された投資、財務、法律、税務、会計上の問題・リスク等を検討するに当っては、貴社において取引の内容を確実に理解するための措置を講じ、別途貴社自身の専門家・アドバイザー等にご相談されることを強くお勧めいたします。本書は、武者リサーチからの金融商品・証券等の引受又は購入の申込又は勧誘を構成するものではなく、公式又は非公式な取引条件の確認を行うものではありません。

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