(写真はイメージです/PIXTA)

10月27日、欧州中央銀行(ECB:European Central Bank)は政策理事会を開催し、金融政策について決定しました。本稿では、ニッセイ基礎研究所の高山武士氏が、ECB政策理事会での決定及び発表について解説します。

質疑応答(ガザ地区での戦争・スプレッドの拡大について等)

(質疑応答(趣旨))

・最近の経済の弱さや、ガザ地区での戦争は今日の議論でどのような役割を果たしたか

  • 状況を注視している
  • エネルギー価格や経済主体の景況感への間接的・直接的な影響など、経済的な結論に関心を払っている

 

・PEPPの再投資終了や最低準備の引き上げに関する議論はあったか

  • PEPPも、最低準備への付利も今回の会合では議論していない

 

・「十分に長い期間」とはどのくらいの長さなのか、利下げを考えるきっかけは何か、インフレ率が2%なのか2.5%なのか3%なのか。これは市場の関心でもあると思う

  • データ次第である
  • 利下げを考える時期については議論していないし、議論は完全に時期尚早である

 

・利回りについて、ユーロ圏や他地域で上昇していると述べているが、これはおそらく米国のことだろう。金利上昇や、潜在的な分断化リスクについて懸念しているか

  • ある種の外部の引き締めはユーロ圏経済のファンダメンタルズとは直接的な関係はないが、長期金利に影響が及ぶため引き締め要因となる
  • 我々も考慮している波及効果であり、他の要因とともにインフレを低下させる

 

・過去の利上げが資金調達環境に強く伝達されていると述べたが、どの程度の影響が実体経済やインフレ率に及んでいるのか

  • 金融政策の特に銀行部門への影響を目にしている
  • 金融政策には通常、伝達のラグが存在する
  • スタッフの評価では実体経済への影響は今後も続き、前提では23年末から24年1-3月期まで続く

 

・エネルギーコストについて。例えば中東の紛争の結果、エネルギーコストの更なる上昇が起きた場合に、どのように反応するのか理解したい。最近のインフレの教訓としてすぐに反応するのか、2次的効果(second round effect)を待つ余裕があるのか

  • 現在の経済状況は、高インフレに見舞われた時とは完全に異なり、政策金利は4%の水準で雇用は強いが軟化しつつある
  • これらの要因をすべて考慮した上でエネルギーコストの上昇がGDPとインフレに及ぼす影響を見る必要がある

 

・スプレッドの拡大について。スプレッドの拡大、特にイタリアについて議論したか。イタリアのスプレッドは現在2%ポイントを超えている。また、これはECBにとって問題ない水準なのか、大幅な拡大なのか

  • インフレ率を2%に戻すための裁量の手段は金利であり、これを使用している
  • また、我々は金融政策がユーロ圏全体に適切に伝達するようにしなければならない
  • そのための適切な手段はすべて用意している
次ページ質疑応答(ギリシャ・金利上昇について等)

※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年10月27日に公開したレポートを転載したものです。

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