リスク評価・結論について
(リスク評価)
・成長率に対するリスクは下方に傾いている
- 金融政策の効果が予想以上に強く生じれば成長率が低下する可能性がある
- 世界経済のさらなる低迷もまた成長率の重しになり得る
- ロシアの正当化されないウクライナとの戦争、およびイスラエルに対するテロ攻撃を発端とする悲劇的な紛争は地政学的リスクの主要要因である
- これは企業や家計の景況感の低下と将来に対する不確実性を上昇させ、成長率がさらに鈍化するかもしれない
- 逆に、労働市場の強さが予想以上に続けば、実質所得が上昇し、家計や企業の景況感がより改善し支出を増加させる可能性があり、世界経済が予想以上に強く成長する可能性もある
・インフレ率の上方リスクには、エネルギーと食料品価格の上昇がある
- 地政学的な緊張の高まりは短期的にエネルギー価格を押し上げる可能性があり、中期的な見通しをより不透明にしている
- 異常気象、気候変動危機の進行がより拡大していること、は予想以上に食料品価格を押し上げる可能性がある
- 継続的にインフレ期待が我々の目標を上回ること、もしくは賃金や利益率の予想以上の上昇もまた、中期的に見てもインフレ率を押し上げる可能性がある
- 対照的に、需要の低迷、例えば金融政策の強い伝達や、世界的に地政学的なリスクが高まるなかで域外経済の悪化が起きれば、特に中期的には物価上昇圧力が低下するだろう
(金融・通貨環境)
・長期金利は、他の先進国の長期金利上昇を反映して、前回の会合以降、大幅に上昇している
- 我々の金融引き締めは引き続き、広範囲の資金調達環境に強く伝達されている
- 企業の資金調達コストはより上昇し、企業向け貸出金利と住宅ローン金利は8月には再び上昇してそれぞれ5.0%および3.9%となった
・最新の銀行貸出調査によれば、高い借入金利は設備投資計画や住宅購入の削減に関連して、7-9月期の信用需要を大きく落ち込ませた
- さらに、企業および家計に対する信用基準がより厳格化した
- 銀行はより顧客の直面するリスクに対して懸念を高めており、自身の受け入れるリスクを消極化させている
・こうした背景により、信用動向はさらに軟化した
- 企業向け貸出伸び率は前年比で7月の2.2%から8月には0.7%、9月には0.2%まで大幅に低下した
- 家計向け貸出伸び率は引き続き低迷しており、8月には1.0%、9月には0.8%に減速している
- 貸出が低迷し、ユーロシステムのバランシートが縮小するなか、M3の前年比伸び率は8月には▲1.3%となりユーロ発足以来の最低を記録、9月には▲1.2%となった
(結論)
・(声明文冒頭に記載の利上げと、金融政策スタンスへの再言及)