日本の「2つの弱点」は“十分にカバー可能”
――投資対象になりえる“余裕がある国”として日本も入っていましたが、円安で不利なイメージがあります。米国の利上げが終わっても、インフレが残り金利が下がらなければ、円安は続くのでしょうか?
荒磯「たしかにここ数年は、米国の利上げが円安を引っ張ってきました[図表5]。しかし、2022年末にかけては、ちょうど日本銀行が金融緩和を修正したタイミングでいったん円高方向に調整しました。
日本の物価は輸入主導であるため、インフレが欧米より遅れて上昇する傾向にあります。日銀は『マイナス金利解除』というキーワードを発していますし、今後、欧米の金利上昇がストップした状況で、遅れて日本の金利上昇が話題になる可能性はあります。
また、日本の貿易収支はかなり改善していますので、通貨のフローで見ても円売りに偏る状況ではなくなってきています」
――地域の優勝劣敗という視点でみた際、日本のどこに注目していますか?
荒磯「日本には弱点が大きく2つあります。1つ目は、資源の確保が困難なこと。しかし、同盟国や友好国を重視するフレンドショアリングが進むことで、西側諸国では技術提供国として日本の重要性が増しています。
もう1つの弱点が人手不足です。これもAIなど最新技術を用いて十分にカバーできる分野です。これまで日本の弱みとされていた部分が強みになる可能性があります」
――これからの世の中は、国の格差が生じやすく、勝ち組の国への投資を意識したいものです。米国の利上げがいつになるのか見定めることも大事ですが、その先を見据えることでカギとなるポイントを押さえられれば、投資のチャンス到来となるかもしれませんね。
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荒磯 亘
執行役員 運用戦略部長/ポートフォリオ戦略室長
アライアンス・バーンスタイン株式会社
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