(※写真はイメージです/PIXTA)

オーストリアの皇太子夫妻がセルビアの青年に暗殺された「サライェヴォ事件」。これをきっかけに激昂したオーストリアはセルビアに宣戦布告し、「第一次世界大戦」が勃発します。しかし、戦車や毒ガス、潜水艦など数々の新兵器が登場したこの戦争は、同盟国側・連合国側ともにボロボロの「消耗戦」となったのです……。『大人の教養 面白いほどわかる世界史』(KADOKAWA)の著者である河合塾講師の平尾雅規氏が、第一次世界大戦の「裏側」について解説します。 

「サライェヴォ事件」をきっかけに「第一次世界大戦」勃発

1914年6月28日、ボスニアの州都サライェヴォを訪問していたオーストリア帝位継承者が、セルビア人青年に暗殺されてしまいました。

 

激昂したオーストリアはセルビアに最後通牒を突きつけて宣戦すると、ドイツがオーストリアに、ロシアがセルビアについて参戦。三国同盟と三国協商を引きずり込んだ第一次世界大戦の勃発です。

 

出所:『大人の教養面白いほどわかる世界史』(KADOKAWA)より抜粋
[図表1]第一次世界大戦における連合国と同盟国の分布 出所:『大人の教養面白いほどわかる世界史』(KADOKAWA)より抜粋

 

第一次世界大戦の参戦国は、少数派の同盟国に注目するのが楽です。三国同盟のドイツオーストリア、バルカン戦争を通じてゲルマン陣営と関係を深めたブルガリアオスマン帝国ですね。

 

イタリアは同盟国サイドにいませんね。これはイギリスの策謀で、「未回収のイタリア」をめぐってオーストリアと対立していたイタリアは連合国(英仏露の三国協商が基盤)側で参戦するんです。

 

東西の強国ロシアとフランスに挟まれ、窮地に立たされたドイツ

ビスマルクがかつて危惧したロシアとフランスに挟まれる状況が現実となり、これにどう対応するか…。ドイツ参謀本部は、ロシア軍がドイツ国境に到達するのに時間がかかるだろうと読み、まずは全軍を西部のフランスに投入しようと考えました(中立国ベルギーを通過してフランスの意表を突く)。

 

短期決戦でパリを落としたら、今度は全軍を東部に振り向けて、遅れて来たロシア軍を叩く。時間差をつけて各個撃破するシュリーフェン作戦です。

 

しかし、予想以上に早くロシア軍が東部国境に迫って来て、ドイツの目論見は早くも狂います(ドイツ軍は8月のタンネンベルクの戦いでロシア軍を追い払い、事なきを得ましたが…)。

 

9月に入り、ついに独仏軍が衝突。ドイツの進撃をフランス軍がマルヌで阻止しました。ここで戦線は膠着し、ドイツが望んだ短期決戦は叶わず、東部国境には再びロシア軍がやって来ました。結局ドイツは東西二正面作戦を強いられてしまいます。

 

「日英同盟」を口実に日本も参戦…中国に「二十一カ条の要求」を受諾させる

一方、日本は日英同盟を口実に連合国側で参戦しており、「敵国ドイツに打撃を与える」という口実で、ドイツの勢力範囲である山東半島や太平洋にあるドイツ領南洋諸島を占領。山東半島の権益を日本に譲渡するよう求めたのが二十一カ条の要求で、当時の袁世凱政権に受諾させました。

 

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次ページ新兵器登場により“前代未聞の消耗戦”に

※本連載は、平尾雅規氏による著書『大人の教養 面白いほどわかる世界史』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

大人の教養 面白いほどわかる世界史

大人の教養 面白いほどわかる世界史

平尾 雅規

KADOKAWA

「なぜ、戦争や紛争が絶えないのか?」「なぜ、国によって考え方・風習・生活が違うのか?」 ……答えは高校時代に習った世界史の授業のなかにあったはずなのに、大人になったいま、その答えがすっぽりと抜け落ちていません…

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