いま考えたい〈円→外貨〉への資産のシフト…「新興国」の成長を享受できる投資先とは?【エコノミストが解説】

いま考えたい〈円→外貨〉への資産のシフト…「新興国」の成長を享受できる投資先とは?【エコノミストが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

外貨建て投資を行う際、「利回り」だけで選ぶのは危険です。一方で、安定性の高い先進国通貨にもリスクは存在しています。それでは、投資先を選ぶとき、何を基準にすればよいのでしょうか。本稿では、第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏による著書『インフレ課税と闘う!』(集英社)から一部を抜粋し、運用収益を最大化するために外貨建て投資を行う際のポイントについて解説します。

「大きくなる国」の共通点と「日本の経済成長」停滞の原因

ならば、逆に大きくなる国はどこなのだろうか。2060年という遠い将来ではなく、今後10年先という近い未来の方が確度が高いということで、2022~2032年の変化を調べてみた。

 

ランキング表を作ると、1位はインドの83.8%である。2位はインドネシアで64.8%、3位はトルコの49.6%である。中国は4位で45.6%である。中国は過去10年間で見ると、87.9%と46か国中で第1位の高成長を遂げてきた。インドは過去10年間では74.9%と中国に次いで2位であった。

 

この差を説明する一つの要因は人口増加率である。国連の人口予測では、インドは今後も人口増加が進む国だ。インドネシアとトルコもそうだ。

 

それに対して中国は人口増加率が大きく鈍化する。しかも、高齢化も急速に進む。

 

中国は「豊かになる前に老いる国」と言われることがある。高齢化すると、成長のポテンシャルが落ちる。若い人が多い社会は、平均して残りの人生が長い人が多くなるので、人々はリスクを取って新しいことに挑戦し、失敗してもまたやり直そうとする。これから新しいチャンスに備えたいと思っている人は、新しい知識習得にも貪欲になれる。

 

日本の成長力が落ちたことと、少子化には密接な関係があると思える。

 

子供が少なくなっていく東京都の地域では、昔の子供向けのビジネスが廃れていく。代わりの高齢者ビジネスは、政府からの支援に依存していたり、収入の少ない年金生活者に支えられて需要が高まりにくい。少子化は、高齢化と人口減少を伴いながら、経済成長を停滞させていく。

 

豊かになった国ではどこでも、子育ての苦労より、自分の時間や価値観を個人が追求するようになり、子供を持たないライフスタイルが定着していく。その変化はゆっくりと経済成長の力量を奪っていくが、政府や有識者はその変化に危機感を抱きにくい。

 

そして、気がついたときにはもう多少の少子化対策をやっても手遅れになる。

 

話を投資に戻すと、日本の成長率が低くなると、円資産に投資してもその収益率は低いものにならざるを得ない。むしろ、成長率の高い国々を探して、そこに投資をシフトさせる方が高い運用収益が期待できる。

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インフレ課税と闘う!

インフレ課税と闘う!

熊野 英生

集英社

コロナ禍やウクライナ戦争を経て、世界経済の循環は滞り、エネルギー価格などが高騰した結果、世界中でインフレが日常化している。これからは、「物価は上昇するもの」というインフレ前提で、家計をやりくりし、財産も守ってい…

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