サステナビリティに関わる意識と消費行動(2)-意識は成長段階・行動は途上段階、教育機会や情報感度、経済的余裕が影響

サステナビリティに関わる意識と消費行動(2)-意識は成長段階・行動は途上段階、教育機会や情報感度、経済的余裕が影響
(写真はイメージです/PIXTA)

原料や製造過程において、環境や人権などのサステナビリティに配慮した企業や製品が増えています。日本の消費者はサステナビリティへの取り組みに対して、どの程度意識して消費行動を行っているのでしょうか。本稿では、ニッセイ基礎研究所の久我尚子氏が、消費者のサステナビリティに関わる意識や行動について解説します。

年代別の状況

シニアで意識高く、教育機会に恵まれたデジタルネイティブで行動はやや積極的

注:
[図表4]性年代別に見たサステナビリティに関わる意識や行動(そう思う割合) 注:省略して表記
資料:ニッセイ基礎研究所「生活に関する調査」

 

年代別に見ると、意識面については、そう思う割合が最も高いのは、20歳代では「社会の一員として何か社会のために役立ちたい」(36.0%)、30~60歳代では「サステナビリティに関わる問題は他人事ではない」(30歳代:36.8%、40歳代:36.0%、50歳代:42.4%、60歳代:54.7%)、70~74歳では「お金がかかっても、企業はサステナビリティを配慮すべきだ」(68.6%)だが、いずれも2位以下と僅差である。

 

年代による違いを見ると、そう思う割合は、「サステナビリティに積極的に取り組む企業で働きたい」では若者ほど高まるが、それ以外では高年齢ほど高まるものが多く、特に「サステナビリティに関わる問題は他人事ではない」(20歳代30.7%、60歳代54.7%で20歳代より+24.0%pt、70~74歳64.6%で20歳代より+33.9%pt)や「手間がかかっても、企業はサステナビリティを配慮すべきだ」(同30.4%、同53.4%で同+23.0%pt、同65.9%で同+35.5%pt)で目立つ。

 

また、60歳代以上では約半数の項目で支持率が50%を超えるが、20歳代では2~3割程度で低い傾向がある。

 

行動面については、意識面とは異なり、そう思う割合は40・50歳代を底に、若者やシニアで高まるものが多い。若者ほど高まるのは「学校や組織等でサステナビリティについて学ぶ機会がある」(20歳代が最多で29.0%、全体より+13.5%pt)や「サステナビリティを意識してボランティア活動等をしている」(同19.4%、同+8.8%pt)、「サステナビリティに関する情報を発信している」(同10.6%、同+3.7%pt)である。

 

また、40・50歳代を底に若者とシニアで高いのは「価格が安くても人権問題等のある製品を買わない」(20歳代27.6%で全体より+5.5%pt、70~74歳29.6%で同+7.5%pt)である。

 

このほか20歳代では「価格が高くてもサステナビリティに取り組む企業の製品を買う」(24.7%、全体より+6.3%pt)や「サステナビリティについて学ぶ機会を積極的に得ている」(23.0%、同+7.5%pt)が、70~74歳では「価格が安くてもサステナビリティに影響のある製品は買わない」(30.5%、同+9.4%pt)や「サステナビリティを意識して行動している」(27.4%、同+5.9%pt)が高い。

 

なお、戸惑いや躊躇に関わる問いについては、70~74歳で高いものが多く、「サステナビリティに興味はあるが何をしたらよいかわからない」(48.2%、同+12.8%pt)では、そう思う割合が実に約半数を占める。

 

前稿でシニアほどサステナビリティに関わるキーワードを認知していたように、本稿の問で見ても、意識はシニアほどより高い傾向があるが、行動は必ずしも同様ではなく、サステナビリティに関わる教育機会に恵まれ、情報発信やボランティア活動などに積極的なデジタルネイティブ世代である若者とは対照的である。

 

ただ、見方を変えると、ボランティア活動などに取り組んでいるのは20歳代の2割以下にとどまること、また、他年代と比べて意識面と行動面の支持率の差が小さいことから、目先の伸びしろ(サステナビリティに関わる意識があるにも関わらず上手く投影できていない層が多い)という意味では年齢が高いほど期待しやすいとも考えられる。

 

一方、シニアでは、若者や就業者ほどサステナビリティに関わる教育機会に恵まれていないために具体的な取り組みへの戸惑いは大きいが、意識自体は高いため、価格よりサステナビリティを優先して製品を購入するといった日ごろの消費生活で個人的に取り組める行動については、若者以上に積極的な傾向がある。

 

なお、シニアで意識が高い理由としては、前稿でも述べた通り、人生経験が長く、社会課題等について幅広い知識を蓄えていること、また、過去に環境汚染などの公害を経験し、現在と比べることができる世代であるために危機意識が高まりやすいことがあげられる。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年10月18日に公開したレポートを転載したものです。

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