(※写真はイメージです/PIXTA)

世の中には、本名ではなく仮名で仕事をする職業が多く存在します。たとえば、芸名で活動する芸能人のほか、YouTuberなどもYouTube上での名前を使って活動しています。そして、キャバクラやホストクラブなどで働くホステスやホストといった、いわゆる夜職の人々も本名ではなく源氏名で活動しています。では、本名ではない名前に対する誹謗中傷には、法的措置を取ることは可能なのでしょうか。Authense法律事務所の弁護士が詳しく解説します。

ネット誹謗中傷の実情

まずは、最近のネット誹謗中傷の実情を見てみましょう。一般社団法人セーファーインターネット協会が2020年6月29日から運用している「誹謗中傷ホットライン」の活動報告によると、2022年に受理した連絡件数は2,152件あり、そのうち誹謗中傷情報に該当するとされた件数は556件でした

 

これらの連絡は、誹謗中傷を受けたという本人からの申告がほとんどでした。水商売をしている方に対する誹謗中傷が増加しているかどうかの公的な統計はありませんが、いわゆる夜職の方々は相対的に誹謗中傷のリスクに晒されやすく、ご相談いただく傾向としても比較的多いといえます。

 

特に、妬み嫉みや愛憎を原因として事実無根な誹謗中傷をしつこく行ったり、職業差別をするかのような内容や、容姿をおとしめる悪質な内容の書き込みが散見され、早急に手続きを進める必要がある場合が多いです。

 

書き込まれるウェブサイトとしては、爆サイ.comやホストラブ、V系初代たぬきの掲示板といったネット掲示板が多いほか、X(旧Twitter)やInstagramでも誹謗中傷の投稿が行われています。

源氏名に対する悪口は、本人への誹謗中傷になるのか

一言で「誹謗中傷」といっても、その意味は多義的です。「いわれて嫌になることをネットに書き込まれたこと」と、「その内容が権利侵害と評価できるかどうか」はしっかり区別する必要があります。

 

たとえば、名誉権が侵害されたとして不法行為が成立するためには、大前提として「ある人の社会的評価を低下させた」と評価できなければなりません。

 

もし誹謗中傷の書き込みに「大阪の人」や「東京都港区在住の男性」とだけしか書かれていなかった場合、誰に対する誹謗中傷なのかが一見してわからないので、「この書き込みは自分に対する名誉棄損だ」と主張することは困難です。

 

本名ではない名前に対する誹謗中傷が認められるポイント

そのため、源氏名といった本名ではない名前を指して誹謗中傷を受けた場合には、「ある人」を特定できているのかどうか、法的にいえば「同定可能性」が認められるのかどうかが問題となるわけです。

 

このことはほかの権利侵害も同様で、投稿内容が「ある人」といった特定の人のプライバシーを侵害しているといえるのか、特定の人の名誉感情を侵害したといえるのかが問題となります。

 

では、源氏名を指して誹謗中傷をした場合、同定可能性*は認められるのでしょうか? 結論からいえば、本名ではない源氏名に対して誹謗中傷をしたとしても、同定可能性が認められる可能性は十分にあります。

*その書き込みが誰のことを指しているのか、他者が見てわかること

 

ただし、同じ源氏名を使用している方はたくさんいらっしゃるので、よっぽど特徴的な源氏名ではない限り、源氏名のみで特定することは難しい場合があるでしょう。

 

そこで、誹謗中傷が書き込まれた掲示板のスレッド名やレスの前後の状況、そのお店で働いている実態などを踏まえ、「ある人を特定したうえで誹謗中傷している」と評価できるということになります。

 

もちろん、同定可能性が認められると判断できた場合には、事実を摘示して社会的評価を下げたといえるかどうか、プライバシーとして保護される内容かといったことを検討する必要があります。

 

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