(※写真はイメージです/PIXTA)

「がん」は生涯で日本人の2人に1人が罹患する病気ともいわれています。もし仮に自分の子どもががんに罹患したら、親は、どんな治療でもすがりたいと思うでしょう。しかし、思い込みやネットでの不適切な情報を鵜呑みにした結果、民間療法にのめり込んで資産を大きく失う人も少なくないと、株式会社ライフヴィジョン代表取締役のCFP谷藤淳一氏はいいます。本記事では、滝沢さん(仮名・69歳)の事例とともに、がんとお金に関する正しい知識について解説します。

穏やかな年金生活に暗雲

東京都葛飾区在住、年金生活者で69歳の滝沢賢一さん(仮名)。家族は同い年の妻と約10年前に結婚し独立した長女の3人。滝沢さんの現役時代は自動車販売会社に40年以上勤め、65歳で定年退職を迎え引退。妻は滝沢さんの扶養の範囲内で63歳のときまでパートで働いて家計を支えてきました。

 

子供の教育費や住宅ローンの支払いは完済し、滝沢さんの退職時には3,500万円の貯蓄も確保。65歳からの年金生活スタート時、夫婦の老齢年金収入は月あたり手取りで25万円ほど。日常生活は年金である程度ゆとりのある生活ができていましたし、数ヵ月ごとに貯蓄を使って、夫婦の趣味である旅行を楽しみながらセカンドライフを過ごしていました。

 

ところが約1年前、滝沢さん夫妻の家計状況は激変し、現在は非常に危機的な状態になってしまっています。

 

10年ほど前に結婚した長女が孫とともに帰ってきて一緒に暮らすことに。しかも長女は仕事ができず、長女と孫の生活費や孫の教育費などはすべて滝沢さん夫妻が負担しています。

 

長女の夫が失職…貯蓄500万円は消失、借金を背負って離婚へ

ことの発端は約2年前、2020年から世界中を襲った新型コロナウィルスの蔓延で、長女一家の家計を支えていた会社員の夫が失職。まだ幼稚園児の一人息子をかかえる状態で家計収入を失いました。夫は再就職をしようと活動しましたが、状況が状況だけになかなか職に就くことができず、そのうちストレスから家に引きこもり気味に。

 

気がつくとマイホームの頭金として貯めていた約500万円の家計貯蓄を本人もよくわからないまま手を出したFX取引につぎ込み、そのほとんどを消失してしまったということです。

 

その後長女の一家は生活費にも事欠く状況となり、夫婦それぞれカードローンなどの借り入れで毎月の生活費や子供の教育費をまかないつつ、長女は派遣会社に登録し事務職として働くようになりました。しかし夫のほうは引き続き家にこもって働く兆しもなかったため、長女は両親である滝沢さん夫妻に相談し、離婚をして出直すこととなりました。

 

シングルマザーとなった長女がまさかの乳がん罹患

子供は長女が引き取ることとなりましたが、夫の側には収入がないため養育費は期待できません。1年半前に離婚手続きが済み、長女は再出発に踏み切ります。滝沢さん夫妻は、孫と実家へ戻ってくることを勧めましたが、長女は自立して生きていかなければと、滝沢さんの住まいの近くで賃貸アパートを借りて暮らすこととしました。

 

長女には借入金もあるため、滝沢さん夫妻は、引っ越し、生活家財、そして当座の生活費として300万円ほど支援してあげました。

 

両親である滝沢さん夫妻の支援を受けつつ、働きながらひとり息子を育てて生活を送っていた長女ですが、1年前の健康診断からの指摘で乳がんであることが発覚してしまっています。幸い乳がん自体は割と早期段階のもので、入院手術によりがんは無事に切除できました。

 

今後は通院での投薬治療ということになったのですが、欠勤日数の多さなどを理由に、派遣社員として働いていた職場から契約更新をしない旨を伝えられてしまいます。長女は再び職と収入を失ってしまうこととなり、精神的にかなり落ち込んでしまいました。

 

 

 

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