(※写真はイメージです/PIXTA)

「がん」は生涯で日本人の2人に1人が罹患する病気ともいわれています。もし仮に自分の子どもががんに罹患したら、親は、どんな治療でもすがりたいと思うでしょう。しかし、思い込みやネットでの不適切な情報を鵜呑みにした結果、民間療法にのめり込んで資産を大きく失う人も少なくないと、株式会社ライフヴィジョン代表取締役のCFP谷藤淳一氏はいいます。本記事では、滝沢さん(仮名・69歳)の事例とともに、がんとお金に関する正しい知識について解説します。

一人娘と孫のためと貯蓄を切り崩し、支援を決意

夫との離婚を決断し、子供を育てながら自立して生きていこうとした長女ですが、再出発からわずか半年で乳がんが発覚。再び収入を失うこととなり茫然自失の状態になってしまいました。

 

それを見かねた滝沢さん夫妻は、アパートを出て実家へ戻ることを勧め、長女もそれに従うことにしました。生活費はもちろん、小学生になっていた孫の習い事など教育関連費もすべて滝沢さんの家計から支援。

 

そして長女はがん保険などには加入していなかったため、毎月のがん治療費も合わせてかかります。滝沢さん夫妻にとっても、大事な一人娘と孫なので、できることはなんでもしてあげたいという思いになっていました。

 

しかしもともと滝沢さん夫妻の家計は年金収入で支えていたものです。毎月の収支がトントンだったところへ、娘と孫の生活費と孫の教育関連費、さらには長女のがん治療費が発生しています。家計はあっという間に大幅な赤字になりました。それでも長女と孫を守ってあげたいというやさしさから、滝沢さん夫妻は貯蓄を取り崩しながら支え続けました。

 

抗がん剤治療に苦しむ娘のため…「高額な民間療法」に手を出した夫婦

長女は月に1回ほどのペースで通院し、投薬治療を中心にがん治療を続けていました。手術が終わり体調も戻ったころには、長女も前向きさを取り戻しつつあったのですが、時間の経過とともに薬の副作用による体調不良が出始めてからは、また精神的にも不安定になり始めました。

 

ときどき滝沢さん夫妻や孫へきつい態度で当たるようなことも出始めて、滝沢さん夫妻も心配になったのですが、すべてはがんのせいだということで、なにか長女のがんに効果のあるものはないか、藁にもすがる思いで探し始めます。

 

インターネットで「がんに効く」とキーワードを打ったところ、それだけで水、食べもの、サプリ、温泉、パワーストーンといった、いわゆる民間療法といわれるものがたくさん出てきました。さっそくすぐにできそうな水、食べもの、サプリなどから購入してみて、いろいろと試し始めました。

 

水だけでもボトル1本約4,000円、サプリは1袋約1万円とかなり高額でしたが、滝沢さん夫妻も高額であるということはそれだけ体にいいという思いになり、その後も続けていきました。また孫の休みのときには、がんに効くといわれる温泉に4人で出かけ、数日間滞在して家族で楽しみながら長女の回復を願いました。

 

気づけば貯蓄は半分以下に

長女と孫と一緒に暮らすようになって1年。滝沢さん夫妻はふと貯蓄残高を確認すると、3,500万円あったはずの貯蓄がすでに1,500万円を切っていることに気づきました。それほど大きな買い物をした覚えはないのに、なぜここまで貯蓄が減ってしまったのか。

 

しかし、よくよく考えてみれば長女と孫の生活費、孫の教育関連費、長女のがん治療費、そして長女のがんに効くようにと始めた民間療法への出費と、夫婦2人だけのときにはなかった出費がある時期から毎月掛かり続けていることがわかります。

 

そして支払いの際にはほとんどがクレジットカード決済をしているため、その月にいくら出費しているのかという感覚がなくなっていたのかもしれません。

 

 

 

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