(※写真はイメージです/PIXTA)

「富国強兵」をスローガンに、近代化を目指した明治の日本。江戸時代までの“封建的な社会”ががらりと変わった時代ですが、この大きな変革のひとつが「貨幣・金融制度」です。原価25円の“紙切れ”である「1万円札」が、なぜ1万円の価値をもつようになったのでしょうか。有名予備校講師で『大人の教養 面白いほどわかる日本史』(KADOKAWA)著者の山中裕典氏が解説します。

兌換(だかん)紙幣と不換(ふかん)紙幣

私が予備校の授業で貨幣制度を説明するとき、1万円札を生徒に見せて(眠そうな生徒も瞬時に目が覚めて全員が私の手を凝視します)、「原価はいくらでしょう?」「○円?」「正解は約25円!では、なぜこれを1万円だと思っているのかな?」「そう決まっているから…」「では、誰がそう決めたのかな?」などのやりとりをすることがあります。

 

極論を言えば、皆が「1万円の価値がある紙切れ」だと信用すれば、紙幣として機能します(実際は、紙幣価値の安定、法による強制通用、発行者の信頼性が紙幣の信用を生み出す)。

 

古今東西、貨幣は皆が価値を信用する物質で製造する場合が多く、その典型が金・銀です。しかし、近代の欧米では、重くて欠けやすく持ち運びに不便な金・銀よりも紙幣が望まれ、兌換制度が成立しました。これは、皆が価値を信用する金・銀を正貨(通貨価値の基準)とし、十分な正貨準備をもとに紙幣と同じ額の正貨(金・銀)と交換して、紙幣価値を保証するものです。

 

一方、正貨準備が不十分だと、紙幣は同じ額の金・銀と交換できません。それが不換紙幣で、紙幣価値が下がる可能性があります。図表3は概念の図式化です。実際は、グラフにあるぐらい多くの正貨を準備しなくても、紙幣価値と正貨価値が同じになれば兌換制度が可能です。

 

[図表3]兌換制度(シミュレーション)

 

 

山中 裕典

河合塾/東進ハイスクール・東進衛星予備校

講師

 

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※本連載は、山中裕典氏による著書『大人の教養 面白いほどわかる日本史』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

大人の教養 面白いほどわかる日本史

大人の教養 面白いほどわかる日本史

山中 裕典

KADOKAWA

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