前回は、不動産業者の「営業トーク」に潜む落とし穴について説明しました。今回は、「高利回りな中古物件」に潜む落とし穴を見ていきます。

業者の言う利回りとは「表面利回り」のこと

近頃、確実な高利回りが期待できるという理由から、中古物件への投資が盛んになっています。そのため、初めての不動産投資の対象として、新築ではなく中古のアパートやマンションを選ぶ人も増えているようです。

 

しかし、中古物件へ投資するのであれば、そのリスクについてもしっかりと把握しておく必要があります。

 

まず、そもそも、中古物件による資産運用がなぜ、高利回りになるといわれているのか、その理由について確認しておきましょう。

 

不動産業者が、高利回りを謳う場合、その「利回り」とは、通常「表面利回り」のことを意味しています。表面利回りとは、年間の満室時のアパート賃貸料の合計を、物件の取得価格で割ったものです。

 

たとえば、7000万円でマンション1棟を取得し、そのマンションに、家賃8万円の部屋が8戸入っていた場合、年間満室想定賃料は、8万円×8戸×12カ月=768万円で、表面利回りは、768万円÷7000万円×100=10.97(%)となります。

 

この計算例からも推測がつくように、物件の取得価格が低ければ低いほど、表面利回りは高くなります。

 

そして、一般的には、新築よりも中古の物件の方が取得価格を低く抑えることができます。その結果、「中古物件は新築物件より高利回りである」ということが可能になるわけです。

 

新築物件では起こりえない問題が発生することも

しかし、すべての中古物件が、この計算式通りに高利で回せるとは限りません。中古物件には、新築物件では考えられないような問題点やデメリットが、大きなリスク要因として存在するためです。

 

そうしたリスクが万が一、顕在化した場合、当初、想定していた賃料収入を得られなくなったり、あるいは予期せぬコスト負担を強いられることになるかもしれず、その結果として、実質的な利回りが大きく低下する危険性があるのです。

 

本連載は、2013年9月20日刊行の書籍『不動産投資は女性が選ぶ新築RCマンションで始めなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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