月給12万円だが「お酒もテレビもゲームも禁止」…入学すれば“文明を失う”防大、娯楽に餓えた学生たちの「珍文化」【防大OBの実録】

月給12万円だが「お酒もテレビもゲームも禁止」…入学すれば“文明を失う”防大、娯楽に餓えた学生たちの「珍文化」【防大OBの実録】
(画像はイメージです/PIXTA)

学費無料、衣食住完備、毎月12万0,200円(令和5年)の学生手当が支給される上に、年2回のボーナスまである防衛大学校。ただし全寮制で規律は厳しく、平日の外出は原則不可、ゲーム機やテレビの保有もできないなど、学生は文明を一時的にロストします。その結果生まれた独特のユーモアや文化とは? 防大卒のエッセイスト・ぱやぱやくん氏の著書『今日も小原台で叫んでいます 残されたジャングル、防衛大学校』(KADOKAWA)より一部を抜粋し、在学当時のエピソードを紹介します。

娯楽がなさすぎて生まれる、摩訶不思議な防衛大ユーモア

防大は規律が厳しく、お酒はもちろんのこと、テレビ・ゲームなどの娯楽が禁止されています。自衛隊で一般部隊に配属になった隊員はテレビ・ゲームが許可されているため、防大生は一般隊員よりも息抜きをする機会が少ないです。このような環境で生活をしていると、独特のユーモアや文化が生まれます。

 

防大生の娯楽や面白い話を、いくつか紹介しましょう。

お菓子パーティー:部屋のメンバーでカロリー爆弾をむさぼる

防大生はとにかくお菓子パーティーが大好きです。売店でジュースやお菓子を大量に買い込み、自由時間や消灯後に部屋のメンバーで楽しみます。イメージとしては「お楽しみ会」です。防大生に愛されるお菓子はカントリーマアムやピザポテトなど、カロリー爆弾が多いです。コカ・コーラを飲みながら、カントリーマアムをむさぼるように食べることが防大生の喜びです。翌日は激しい胸焼けに苦しみます。

コント大会:「誰も笑わない」という悲劇が一周回って面白い

防大の学生舎ではよくコント大会が行われます。このコント大会は志願制のこともあれば、強制参加のときもあります。強制参加のときは仕方がないのでネタを考える必要があります。

 

ただ、所詮は学生のコントのため、「まったく面白くないし、誰も笑わない」という悲劇が頻発します。特に深夜の勢いで作ったネタは「寒い」と言われており、「誰も笑わないのが面白い」というシュールな世界になります。

 

学生に人気があるネタは上級生や教官のモノマネ、ふんどしを締めたお尻で割り箸を割るなどの一発芸系であり、これらの芸を持っていると卒業後も身を救うことになります(自衛隊は一発芸の無茶ぶりが多いです)。

 

また、ロッカーに上級生の名札を貼り、「おいおい何が入っているんだ〜」と言ってみんなの前でロッカーを開けると、エッチな本がたくさん出てくるというネタも鉄板でした。正直、馬鹿馬鹿しくてつまらないですが、娯楽がない防大生にはバカ受けです。

噂話:やらかせば卒業生にまで伝わる

防大生は情報に飢えており、とにかく噂話が大好きです。

 

噂話は男女関係のゴシップや服務規律違反などの話が多く、少しでもやらかすと一気に学校中に広がります。この文化は卒業後もOBの中に息づいており、「懲戒処分になった」などの話は防大ネットワークですぐに広がります。

 

有名な話は期別の離れた学生も知っており、伝説化することもあるので、自分が伝説にならないように注意する必要があります。

ランニング外出:「平日の外出は原則不可」だが…

防大では「校外ランニング」が許可されており、学外へ出て海岸沿いなどを走ることができます。この制度に目をつけた学生たちの中には「吉野家で牛丼を食べる」「海岸でアイスを食べる」「焼き鳥を買い食いする」などのちょい悪行為をします。もちろんバレると指導の対象ですが、それが背徳の味として、買い食い行為を加速させるのでした。

ベッド下就寝クラブ:ベッド下に潜伏してこっそり寝る学生たち

防大では就寝時間以外に横臥(おうが)することは禁止されていますが、こっそり寝る方法があります。それはベッド下に潜り込んで寝る方法です。この方法を使って寝る学生は「ベッド下就寝クラブ」と呼ばれており、たまに学生が潜伏しています。ただ、教官も学生が寝ていることを知っているため、たまに見回りで摘発されています。

トンビに餌をあげる:教官にバレたら大目玉

防大には多数のトンビがおり、腐ったパンなどを窓に置くとトンビが大量にやってきます。娯楽がない防大ではこれも娯楽の一つですが、教官に見つかると「ふざけるな!」と激怒されます。そのため、教官にバレないように餌をあげる必要があります。

 

なお、トンビは防大生の食べ物を常に狙っているので、「シュークリームをトンビに取られた」などの被害が頻出します。気をつけるほうがいいでしょう。

思わずフフッとなる面白エピソード

①シャツはワンポイントのみ可⇒犬の絵のシャツを着てきて「『ワン』ポイントです」

厳しい体育教官がおり、「シャツはワンポイントのみ可だからな! それ以外は欠席扱いだ」という指導がありました。

 

他の学生はちゃんとワンポイントのシャツや体操服を準備してきましたが、ある学生は「犬のイラスト」が大きく描かれたシャツを着てきました。この学生に対して教官は「それはダメだ!」と言いましたが、彼は「いえ、教官。これは『ワン』ポイントです」と臆せずに言い、その堂々とした姿に「負けたよ」と教官が言い、彼は授業に参加できたそうです。

 

②よくサボる相撲部の学生「俺は“やすもう部”」

とある相撲部の学生はよく練習をサボり、土日もプラプラ遊んでいました。それを見たある学生は「相撲部ってそんなに休めるのか?」と聞いたところ、彼は「俺は相撲部じゃない。やすもう部だ」と返しました。

 

③テレビは所有NGだがパソコンはOK⇒“40インチ超”の「テレビ一体型パソコン」購入

防大ではテレビを持つことができませんが、個人のパソコンは所持することが可能です。この制度に目をつけた学生が、「テレビ一体型パソコン」というキワモノを購入しました。このキワモノは「パソコン付きテレビ」という名称のほうが相応しく、40インチオーバーという謎の代物でした。

 

最初は教官を説得できたものの、「テレビが見られる!」と学生の間で噂となり、最終的にはゲーム大会が開かれるようになりましたが、「これはテレビじゃないか!」と御用となりました。

 

 

これらの話は一例ですが、防大生は厳しい生活の中において、心を癒せる娯楽を常に求めています。

 

 

ぱやぱやくん

防衛大学校卒の元陸上自衛官。退職後は会社員を経て、現在はエッセイストとして活躍中。名前の由来は、自衛隊時代に教官からよく言われた「お前らはいつもぱやぱやして!」という叱咤激励に由来する。著書に『今日も小原台で叫んでいます 残されたジャングル、防衛大学校』『陸上自衛隊ますらお日記』(どちらもKADOKAWA)などがある。

 

 

※本連載は、ぱやぱやくん氏の著書『今日も小原台で叫んでいます 残されたジャングル、防衛大学校』(KADOKAWA)より抜粋・再編集したものです。

今日も小原台で叫んでいます 残されたジャングル、防衛大学校

今日も小原台で叫んでいます 残されたジャングル、防衛大学校

ぱやぱやくん

KADOKAWA

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