その他 教育
連載わが子を東大・京大へ導く「思考教育」【第3回】

子どもの考える力を鍛える「算数の文章問題」

算数

子どもの考える力を鍛える「算数の文章問題」

前回に引き続き、子どもの考える力をもっとも鍛える「算数の文章問題」のメリットを説明します。

長文問題を「図」で表すことで、考える力が身につく

前回の続きです。算数の文章問題に関連した図を丁寧に描けるようになると、次のような問題もきちんと考えることができるようになります。

 

A町からB町まで時速6㎞の速さで歩き、同じ道を通ってA町まで時速4㎞の速さで歩いて帰りました。往復の平均時速は、何㎞になりますか?

 

この問題に対して、(6+4)÷2=5と式を書いて、だから平均時速は5㎞と答える子どもがいます。図を描けばそれだけで、まず5㎞という答えは出てこないはずです。(【例2】)

 

【例2】

 

A町からB町まで時速6kmの速さで歩き、同じ道を通ってA町まで時速4kmの速さで歩いて帰りました。往復の平均時速は、何kmになりますか?

 

 

 

あるいは歩く速さの違う人が、同じ場所から、時間を変えて出発する問題があります。例えばAさんは1分間に50m進み、Bさんが70m進むとしましょう。そしてAさんが出発してから2分後に、Bさんが追いかけたとします。これは図を正しく描くことができれば解けます。(【例3】)

 

【例3】

 

歩く速さの違うAさんとBさんが同じ場所から時間を変えて出発します。Aさんは1分間に50m進み、Bさんは1分間に70m進みます。Aさんが出発して2分後にBさんが追いかけると何分後にBさんは追いつくでしょうか?

 

 

 

7.5㎞はなれた川下のA町と川上のB町の間を、船が行き来しています。今、両町から、2せきの船が同時に出発しました。2せきの船の静水での速さはいずれも分速250mで、この川の流れの速さは分速50mとします。

 

B町からA町へむかっていた下りの船が、B町を出発してから20分後浮き輪を落としたことに気づき、その浮き輪を拾いに戻ったため2せきの船は同時に両町に着きました。下りの船が浮き輪を落としたのは、B町から何㎞地点でしたか。

 

これぐらいの問題になると、大人でも頭の中だけで考えることは難しいはずです。ここにも文章題に取り組むメリットがあります。問題文を読んで、一行ずつを図に描いていけばよいのです。(【例4】)

 

【例4】

 

7.5kmはなれた川下のA町と川上のB町の間を、船が行き来しています。今、両町から、2せきの船が同時に出発しました。2せきの船の静水での速さはいずれも分速250mで、この川の流れの速さは分速50mとします。

 

B町からA町へむかっていた下りの船が、B町を出発してから20分後浮き輪を落としたことに気づき、その浮き輪を拾いに戻ったため2せきの船は同時に両町に着きました。下りの船が浮き輪を落としたのは、B町から何km地点でしたか?

 

 

浮き輪を落とした地点をC、それに気づいた地点をD、浮き輪を拾った地点をEとすると・・・

 

7500m÷200m/分=37.5分(上りの船がAB間にかかった時間)

7500m÷300m/分=25分(下りの船がAB間にかかる時間)

37.5分-25分=12.5分(下りの船がDE間の往復に要した時間)

 

DE間の上りと下りにかかる時間の比は、上りと下りの速さの比の逆比になるので、DE間:ED間=3:2

 

12.5分÷5×3=7.5分(下りの船がDE間を上るのにかかった時間)

 

下りの船が、浮き輪を落としたことに気づかずCからDまで下り続けた時間と、気づいてから浮き輪の所まで戻るのにかかる時間は等しいので、下りの船がCD間の下りにかかった時間は、7.5分である。

 

20分-7.5分=12.5分(下りの船がBC間にかかった時間)

よって、BC=300m/分×12.5分=3.75km

 

 

長文問題でも、一文ずつ、その内容を図に表していくことが考えるスタートになります。描いていくうちに、この問題なら浮き輪を取りに戻るところを、どのように表せばよいかを考えるはず、すなわち考える訓練になるのです。

正解を導くまでの「プロセス」そのものが大切

長文の文章問題ほど、考える訓練には適していることになります。ややこしい問題文を読んで、まずどういう状況になっているのかを図に示す。これも考える訓練です。状況が理解できれば、次は何が問われているのかに注目する。最初に描いた図で良いのかどうかを考える。

 

このプロセスそのものが考える訓練になります。その時、正確に図を描くことだけは徹底します。緻密に考えるためには、細部をゆるがせにしないことが必要です。

 

文章問題に比べれば、図形問題は目で見てわかるだけに理解しやすく、子どもたちもパズル感覚で考えられるので面白いようです。平面図形なら、必ず図にして表現できるので視覚的にわかりやすい。問題に描かれている図に、問題文の数値を書き込み、補助線を引いたりして試行錯誤することが考える力を養ってくれます。

江藤 宏

関西教育企画株式会社 灘学習院  学院長

昭和42年に神戸市灘区に学習塾「灘学習院」を開校。開校以来、思考教育に特化した教育を実践している。自分の頭で考える子どもを育てるため独自の「思考教育」を確立。40年以上に及ぶ指導経験と独自のノウハウを蓄積し、現在は教師の研修指導にあたっている。大手学習塾のように受験を目標とした「詰め込み型」「暗記型」ではなく、考える力自体を伸ばす「思考型」の教育法を実践。

著者紹介

連載わが子を東大・京大へ導く「思考教育」

東大・京大に合格する子どもの育て方

東大・京大に合格する子どもの育て方

江藤 宏

幻冬舎メディアコンサルティング

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