(※写真はイメージです/PIXTA)

家計の金融資産およそ2,000兆円のうち、54%が現預金に眠っている日本。一方、米国では現預金比率がわずか13%ほどと、その差は歴然です(日本銀行調査統計局、資金循環の日米欧比較より)。この圧倒的な差が生まれている要因のひとつは、米国で「プルーデントマン・ルール」が浸透しているからだと、鎌倉投信の代表取締役社長である鎌田恭幸氏はいいます。その「プルーデントマン・ルール」とはいったいなんなのか、みていきましょう。

岸田政権は「資産所得倍増プラン」を掲げるが…

「新しい資本主義の実現」を旗印に掲げる岸田政権が発足してから間もなく2年が経ちます。その看板施策のひとつが、約2,000兆円にのぼる家計の金融資産、その半分超が現預金におかれている現状を変え、個人の資産運用収入を倍増させようとする「資産所得倍増プラン」です。

 

その具体的な施策は

 

①2024年から始まる「新NISA」の実施

②金融知識の向上に取組む「金融経済教育推進機構」の創設

 

となります。

 

このように、政府が家計・個人の資産形成に向けた環境整備を急ピッチに進めるなかで、政策成功の鍵を握るのが、運用商品やサービスを個人に提供する銀行や証券会社、そして運用商品を組成し、預かったお金をふやす役割を担う資産運用会社の質向上でしょう。

 

たとえば、金融庁は先月、商品性が複雑でリスクの高い「仕組み債」の不当な販売を巡り、複数の金融機関に業務改善命令を出しましたが、このようなことが頻繁に起こるようでは、いくらよい制度をつくったとしても、その目的は到底達成できないでしょう。

 

こうした問題について、金融庁は、2023年4月に資産運用業界の現状などを分析した「資産運用業高度化プログレスレポート2023」を公表しました。そのなかで挙げられた問題のひとつが、資産運用会社、とりわけ大手金融機関系列の資産運用会社における「経営の透明性」に関するものでした。

 

具体的には、海外との比較において次のような点を指摘しています。

 

◆日本の大手金融機関系列の資産運用会社では、在任期間が「3年未満」の経営トップが多く、グループ会社からの異動後に就任する例が多い。一方、世界の大手資産運用会社では、在任期間が「5年以上」の経営トップの割合が多く、「勤続10年以上」の内部昇進の割合が高い。

◆日本の大手資産運用会社は、資産運用会社での勤務経験が「3年未満」と短い経営トップの比率が高く、トップの選任理由も明確に示されていない。一方、世界の大手資産運用会社では、資産運用会社での勤務経験が「20年以上」の経営トップが最も多く、選任理由も開示されている。

◆世界においては、独立系の資産運用会社が台頭しているが、日本においては、非独立系が多く、独立系の資産運用会社が規模を拡大できていない。

 

こうしたことが、大手の金融機関は、資産運用会社としての成長よりもグループ内の人事上の処遇を重視しているとの懸念を持たれるおそれや、長期的視点に立った難易度の高い施策を企画・実施することを困難にすること、グループ会社間の利益相反への懸念などにつながっているのではないか、と指摘しています。

 

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