(写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍がオフィス市場に与えた影響は、世界金融危機に比べて小さいものでした。それにも関わらず、調整局面にあるオフィス市場の不透明感が解消できないのは、在宅勤務定着の結果、オフィス需要が構造的に低下するとの懸念が根強いためだと考えられます。本稿では、ニッセイ基礎研究所の佐久間誠氏が、オフィス市況の現状を分析します。

5―今後の注目点:ハイブリッドな働き方とそのなかでのオフィス需要

コロナ禍を経て、在宅勤務とオフィス出社を組み合わせた、ハイブリッドな働き方が定着した。2023年5月8日に、政府が新型コロナウイルス感染症を「5類感染症」へ引き下げたにも関わらず、東京のオフィス出社率は70%程度で安定し、顕著な上昇傾向は見られない6(図11)。

 

それでは、このハイブリッドな働き方の下で、今後どれほどのオフィス需要が見込めるのだろうか。

 

東京と地方主要都市のネットアブソープションの低調な推移は、在宅勤務の普及がオフィス需要の増加を抑制している可能性を示している。

 

実際、新規供給の少ない都市ではオフィス市況が底堅く推移した一方、新規供給が比較的多かった都市では需給バランスが悪化している。

 

具体的には、2020年後半から2021年前半にかけての東京では、2020年の供給に伴う二次空室が埋まらず、空室率が上昇した。また、2023年のみなとみらいでは新規供給が十分に埋まらず、空室率が上昇している。

 

今後は、東京をはじめ多くの主要都市で新規供給が増加する見通しである。

 

その供給をどれほど吸収できるかは、ハイブリッドな働き方の下でどれほどオフィス需要を見込めるのかの重要な試金石となるだろう。

 

 


6 感染症法上の位置づけ。「5類感染症」は季節性インフルエンザと同等である。

 

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年7月4日に公開したレポートを転載したものです。

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