毎日“これ”を書いたら…東大にストレート合格。元偏差値39・限界受験生が〈手帳〉に書いていた「ひとこと」【東大生の合格手帳術】

毎日“これ”を書いたら…東大にストレート合格。元偏差値39・限界受験生が〈手帳〉に書いていた「ひとこと」【東大生の合格手帳術】
(※写真はイメージです/PIXTA)

偏差値39・模試E判定続きの状態から東大へ。松島かれん氏が東大現役合格を果たせた秘訣は独自の手帳術にありました。松島氏は受験や勉強において「自分らしさ」と向き合うことはとても大切であるといいます。本稿では、松島氏の著書『無理せず自然に成績が上がる勉強のトリセツ 東大生の合格手帳術』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、気持ち面から無理なく自分らしさを見つけられる手帳術を1つ紹介します。熱意が消えそうになったとき、再び頑張り続けるために役立つアイディアです。

<前回の記事>偏差値39・限界受験生「どうして私は勉強しないでダラダラ過ごしてしまったんだろう」⇒〈手帳〉を書き始めたら…すごいことに【東大現役合格者の手帳術】

手帳に「ひとこと感想」を書いてみる

本稿でご紹介する手帳術は、「ひとこと感想」を書いてみるというものです。ひとこと感想とはその名の通り、たったひとこと、感想を手帳に書き留めることを指しています。

 

著書『東大生の合格手帳術』のなかで、反省を「小さな目標」にして日々手帳に書き留めるというお話をしていますが、日々勉強をしたり、受験を志したりしているときには、すべての反省を前向きな「目標」に書き換えられるわけではないと思います。ときには、解決策を考えたいのではないけれど、ただネガティブな気持ちになってしまうことや、反対に、嬉しい気持ちになることもあるでしょう。

 

そんなささいな気持ちや思いを、ひとこと感想として手帳に書き留めてみてほしいのです。「自分の心が本当はどのようなことを考えているのか」という問いはとても大きく見えますが、その問いの答えは1日1日にあります。

 

ふとした出来事や模試・定期テストに直面したとき、自分が感じたことをたったひとこと書いておくだけで、「自分はこう考えているんだ」と自分の考え方や気持ちを改めて見つめ直すことができるのです。

「ひとこと感想」は心の整理に役立ち、勉強もはかどる

ところで、なぜひとこと感想が大切なのでしょう。

 

みなさんは、自分の頭や心には、「決まった容量」があると感じたことはありませんか? 私は頻繁に心の容量を感じます。

 

例えば、私は自分の気持ちや取り組むべき勉強内容、予定など、たくさんのことを1つの心のなかで整理することが得意ではありません。勉強していてもふと別のことを考えてしまったり、何かの予定の最中にふと感じた気持ちが渋滞してしまったりするのです。

 

考えや気持ちは一度生まれると消えることはほとんどなくて、でも、心や頭が一度に抱えられる容量には限度があるため、どんどん残る容量が減っていく一方なのです。考えや気持ちがいっぱい溜まっていくと、なんだかモヤモヤしたり、自分の本当の気持ちや考え、するべきことがわからなくなったりしてしまう感覚があります。

 

具体例を見ていきましょう。「今回の模試の成績についてどう思う?」と先生から聞かれたとします。みなさんならどう答えるでしょうか。「今回の模試、全然できなくて悲しかった」「模試の途中で眠くなってしまって集中できなかった」などいろいろな感想があると思います。その感想こそ、ひとこと感想です。

 

私はこのひとこと感想を書くとき、心から言葉を取り出してあげる感覚になります。受験生の頃、ひとこと感想で言葉が取り出されると心が少し軽くなって、勉強に集中できたり、前向きな気持ちになれたりしていました。

 

一方、気持ちや考えをまとめるのが苦手なときにも、ひとこと感想はとても効果があります。ちなみに私は、いつどんなときでも、気持ちや考えを整理するのが非常に苦手です。

 

先ほどの先生の問いを投げかけられたら、「きっと先生から見たら私の成績はダメダメで、実際自分自身でも今回の成績が良かったなんて思えない。でも、前回の模試でできなかった古文を2ヵ月特訓した分、古文文法は少し成長した気がして、ただ古文の問題は読解だったから、やっぱり読解はできないままで、それは点数にも表れているし…」と気持ちや考えがまとまらず、うまく伝えられません。そもそも私の心のなかがすぐに渋滞するので、自分で自分の本当の気持ちが見えない状態になってしまうのです。

 

こんなときにも、ひとこと感想の形で自分の気持ちを書き出すようにしています。言葉になりきらない気持ちの部分も含めて、その気持ちに言葉を与えてあげながら、心を整理できるので、おすすめです。

「ひとこと感想」を習慣化するには?

ここまで、ひとこと感想の内容についてお話してきましたが、これを1日だけ書いたからといって、自分らしさや自分の気持ちがすべて見えてくるわけではありません。そのため、ひとこと感想を書き続ける、すなわちひとこと感想を「習慣」にすることが大切です。

 

では、どのようにしたら習慣にできるのでしょう。「無理なく」ひとこと感想を習慣にできる方法を3つのSTEPにまとめました。

 

【STEP1:日常生活の一部をメモしてみる】

最初のSTEPは、日常生活の一部をメモしてみることです。

 

先ほどの「ひとこと感想が大切な理由」で述べた模試の感想のように、勉強に関することでひとこと感想を書いてみましょう。「なんとなく今日は集中できなかった」「志望校決まらないなぁ」「学部どうしよう」など、小さな目標に変えることがまだできない気持ちや悩みも、ぜひ書き言葉にしてひとこと感想として書き留めてみてください。

 

勉強のことで書き始め、少しずつひとこと感想を書くことに慣れてきたら、他にも、歌詞に勇気をもらった音楽の名前を書き留めておいたり、合格体験記や記事などで素敵だなと思った考えや言葉を書き留めておいたり、感動した本のタイトルや感想を書き綴ったりすることがおすすめです。

 

日々のいろいろをこのように書き留めていくと、手帳がアルバムのようになっていき、ふと読み返したときに少しのエネルギーをもらえて、のちの自分を支えてくれる1つの力になっていきます。

 

【STEP2:「その日を思い出せる」ことを書き留める】

日常生活の一部をメモすることに慣れてきたら、次は「その日を思い出せる」ことを書き留めてみましょう。

 

「その日を思い出せる」こととは、例えば、「晴れや雨などの天候」「〇時間寝たらスッキリした」「今日は夕方まで寝てしまったけど、その分疲れが取れてリセットされた」「オープンキャンパスに行ってみた」など、そのひとことから情景を思い出せて、かつその情景を思い出すと、自分の気持ちや状況なども思い出せるようなことを指しています。

 

というのも、考え方や行動、価値観などの自分らしさは1日にして見えるものではなく、また自分らしさを直接的に探そうとして見つけるのも難しいため、このひとこと感想のように、日々積み重なっていく出来事と、その出来事に対する自身の状況や気持ちをつなげていくことで、自分らしさが見えてくるからです。

 

この書き留める言葉たちによって、無理なく自分らしさを探して、自分にとって無理のない環境や勉強法、考え方などの発見を目指してみましょう。

 

「本当の自分」ではない状態で、受験という長い期間を走りきることは難しいはずです。このようなひとこと感想を通して、自分らしさのかけらを拾い集めながら、自分らしく、ありのままの状態でいられる勉強法や状況を探すことがとても大切です。

 

【STEP3:ポジティブな気持ちもネガティブな気持ちも書き留める】

最後のSTEPは、「ポジティブな気持ち」も「ネガティブな気持ち」も書き留めるということです。「今日は〇〇の問題が解けて嬉しかった」などポジティブな気持ちだけでなく、「受験が不安」「問題が解けるようにならないことが少し苦しい」といったネガティブな気持ちもためらわずに書き留めてみてください。

 

書き言葉にすることで、改めて自分の気持ちを客観的に見つめることができ、積み重なって大きなモヤモヤとなる前に、すなわちモヤモヤが小さなうちに整理をしていくことができるはずです。

手帳という「自分しか見ないもの」に書くからこその“気づき”

ここまで、ひとこと感想についていろいろとお話をしてきました。最後に少し、そのひとこと感想を通して私が感じている不思議な力についてお話しようと思います。

 

突然ですが、みなさんは人間関係の悩みを抱いたことはありますか? 私はずっとコミュニケーションに苦手意識があります。

 

「なんで今日、あの言葉を選んでしまったんだろう。別の言葉のほうがよかったんじゃないか」「どうしてあのとき、変に無理して振舞っちゃったんだろう。空回りしてしまうのやめたいのに」などと毎日のように悩んだり、後悔したりしてしまいます。

 

ですが、自分が本当に思ったことを思ったまま言葉にできるひとこと感想を始めてから、自身の本当の気持ちや考えていることがわかるようになりました。状況や気持ちをひとこと感想で書き言葉にすることで、心の整理ができ、ため息で隠れてしまっていた「本当の声」の正体が見えるようになったのです。

 

というのも、手帳では「あんなこと書かなければよかった」「別の言葉のほうがよかったんじゃないか」となることはありません。自分しか見る人はいないからです。

 

そのため手帳では、言葉にしなくていいことなんて何もないように思えて、自分の感じたことや気持ちに素直になれるのです。自分の心が感じたままに、どんなことも書けるひとこと感想だからこそ、一層自分の内面や本心と向き合うことができ、ありのままの自分を認識できます。この気づきが自分らしさの自覚や受容へとつながっていくのです。

 

ぜひ、さっそく今日からひとこと感想を書き始めてみてください。

 

 

松島 かれん

 

2001年生まれ。東京大学農学部4年(2023年時点)。

高校1年生の頃、自信のなさやいろいろなことに悩み続け、「一歩が踏み出せない自分を変えたい!」と思い、東大受験を決意。しかし、数学では一桁の点数を記録したり、受験勉強とは何をどのように勉強したらよいのかわからず、多くの悩みに直面する。そんなときに出会ったのが手帳であった。自分は勉強が苦手なだけでなく、自分に合った勉強法も見つけられていないのだと気づく。

手帳を書き始めると、自身の性格や考え方を踏まえて勉強と向き合えるようになり、自分の行動も気持ちも大きく変化していくことを手に取るように感じた。その後、3年間10~14時間受験勉強に励み、高校から学年1人東大に現役合格。

大学入学後は、自身と同じような悩みを抱える中高生の背中にそっと寄り添い、少しでも笑顔を届けられたらという気持ちから、リアルドラゴン桜プロジェクト講師をはじめとし、全国各地で講演会を行うほか、書籍や連載、記事の執筆に励んでいる。

※本連載は、松島かれん氏の著書『無理せず自然に成績が上がる勉強のトリセツ 東大生の合格手帳術』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集したものです。

無理せず自然に成績が上がる勉強のトリセツ 東大生の合格手帳術

無理せず自然に成績が上がる勉強のトリセツ 東大生の合格手帳術

松島 かれん

日本能率協会マネジメントセンター

【偏差値39から東大現役合格を実現!】 高校1年生の頃、自信のなさやいろいろなことに悩み続け、「一歩が踏み出せない自分を変えたい!」と東大受験を決意した松島かれん氏。しかし、数学では一桁の点数を記録したり、受験…

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