(写真はイメージです/PIXTA)

本人のものではない公金受取口座が紐づけられていたり、他人の年金記録を閲覧可能だったりしたことで批判も多いマイナンバーカード。国民は厳しい目を持って、行政に対策を求めていく必要があります。本稿ではニッセイ基礎研究所の磯部広貴氏が、とはいえ国民の負担軽減効果の大きいマイナンバーカードの普及を、暖かい目で見守るべきであると提言します。

 

3―大局としてマイナンバーカードを暖かく見守る

 

他の例としては、本年3月より、パスポートの切替申請(更新)1がマイナンバーカードを使いマイナポータルからオンラインで行えるようになったことが挙げられる。

 

従来であれば申請時・受取時の計2回窓口に赴く必要があったところ、このオンライン申請では受取時の1回のみで十分となる。地域によっては窓口がかなりの遠方となるケースもあるため、国民の負担軽減効果は大きいと言えよう。

 

もちろん行政サービス改善が必ずマイナンバーカードを伴わなければならないわけではないが、長く昭和のやり方が続いてきたわが国において、希望を託せるのは年始に申請件数が運転免許証を超えた2マイナンバーカードになるだろう。

 

昨今、本人のものではない公金受取口座が紐づけられていたこと、他人の年金記録を閲覧可能であったことなど、マイナンバーカードへの批判が高まっている。万全のプライバシー保護が求められる分野でもあり、個々の事象に対しては行政を厳しく批判し対策を求めていく必要がある。

 

さりながら大局としては、マイナンバーカードがより一層普及し国民生活に役立つよう暖かい目で見守っていく姿勢を持つべきではないだろうか。

 

昭和どころか平成も知らない子供たちが、返信用封筒と定額小為替を封入して申請書類を投函する日が来たとしたら、その前にわが国は世界から取り残されているかもしれない。

 

非効率な行政サービスは国民のエネルギーを浪費させ、また、それに呼応する-申請書類をチェックし証明書などを返送する-公務員が役所に存在するということでもある。少子化が進みながらも行政サービスの改善が実現できないのであれば、そのような国に諸外国から人や資金を呼び込む魅力が保たれるであろうか。

 


1 政府広報オンライン「パスポートの更新がスマホで可能に 2023年3月27日からオンライン申請がスタート!」(2023.2.7) https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202301/1.html 尚、一部の窓口では新規申請も可能。
2 松本総務大臣閣議後記者会見(2023.1.6)
https://www.soumu.go.jp/menu_news/kaiken/01koho01_02001203.html

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年6月15日に公開したレポートを転載したものです。

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