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今後の日本株はどうなるか

他国の企業と同様に、日本企業が世界の顧客を相手に利益を増やし、株主還元を続けていくことが前提ですが、

 

1.それでも、潜在的な投資家が、日本株の1株利益やROEの上昇を信じないままなら=株価が割安のままなら、既存の投資家は高い投資家リターンを得ることができます。株価は上がりませんが、投資家は株主に帰属する企業利益を割安に獲得し続けられます。「日本株は積み立て投資の機会を提供している」といえるでしょう。

 

2.とはいえ、利益や株主還元が拡大していけば、投資家はいつかその持続性を信じるはずです。その際には、まずは、①「割安感の解消」というかたちで株価の上昇が生じます。日本株のPERは過去10年で40%も低下していますから、割安感の解消が生じるだけで、株価には大きな影響をもたらします。

 

そして、②株価の割安感が解消されれば、そのあとは、ファンダメンタルズ(≒1株利益の成長)に沿った投資家リターンが期待されます。

 

「ROEが上がれば、PBRも上がる」、逆もまたしかりなので、(ROEをPBRで割った)投資家リターン=利益/株価に大きな変化は生じません。株価は期待によってその周りをウロウロしますが、ファンダメンタルズ(≒1株利益の成長)に沿った投資家リターンが期待されます。

 

本来は「利益の増加→株価の上昇」が望ましいのでしょうが、自社株買いによる株数の減少は株価とバリュエーションを上方にシフトさせる簡単な方法であり、ROEに伸びしろがあり、株数も多い(レバレッジが低い)日本株はお買い得と筆者は感じます。

 

日銀の引き締めを心配する必要はない

最後に、日銀の引き締めは心配には及ばないかもしれません。まず、①植田総裁は当面の間、現在の金融政策を維持する方針のようです。

 

次に、②過去10年の低金利政策のあいだ、「人口減少のため」か、「企業利益の増加は一時的」といった解釈なのか、PERは低下してきました。

 

PERの逆数は、将来利益の割引率(金利+リスクプレミアム)です。[図表4]に示すとおり、投資家は、過去10年の低金利政策のあいだ、日本企業が増やしてきた利益に、より高いリスク・プレミアムを課すことで(=より高い割引率を適用することで)、ROEの上昇を黙殺しました。

 

[図表4]日米株式の要求収益率(利益の割引率;12ヵ月先予想利益/現在の株価)
[図表4]日米株式の要求収益率(利益の割引率;12ヵ月先予想利益/現在の株価)

 

他方で米国株では、金利の低下に沿ってリスク・プレミアムも低下しており、日本株のリスク・プレミアムの上昇は、(すべてを調べたわけではありませんが)グローバルな現象ではなさそうで、過去10年の日本に固有の状況や要因を反映したものかもしれません。

 

今後の金利上昇で不採算の事業や企業が淘汰されれば、残るのは収益性の高い事業や企業の集合です。すると、「利益に対する確信度」が増して、投資家は日本株に現状のような高いリスク・プレミアムを求めることはなくなり、金利上昇を相殺するように、リスク・プレミアムは縮小する可能性も考えられます。

 

また、なにより金融引き締めの背景にある賃上げやインフレは経済正常化の証でもあります。

 

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重見 吉徳

フィデリティ・インスティテュート

首席研究員/マクロストラテジスト
 

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