(※写真はイメージです/PIXTA)

プライム市場上場企業の課長を務めていたHさん。社内の「早期退職制度」を利用して、60歳の定年を待たずに会社を辞めました。「一足先にリタイアして、セカンドライフを満喫しよう」と考えていたHさんでしたが、実際には「過酷な現実」が待ち受けていたのです。家計破綻間近のHさんに、牧野FP事務所の牧野CFPはどのような助言をしたのでしょうか。みていきましょう。

破綻寸前のHさんに、FPが行った「3つ」の提案

筆者は、Hさんから話を聞き、妻が65歳まで月8万円でパートを続けることを前提に、家計再建のために下記の3つを提案しました。

 

1.資産を売却する

2.老齢厚生年金を「繰上げ受給」する

3.Hさんが働く

 

1.資産を売却する

Hさんはすでに、早期退職時に受け取った退職金や預金はほとんど使い果たしてしまい、いまある資産は住んでいるマンションと自家用車のみです。資産価値としては、2,500万円程度です。

 

資産を売却し、妻が今後30年間生きると仮定すると、

 

2,500万円(資産売却価格)÷30年間÷12ヵ月=約7万円

 

と、毎月7万円生活費に充てることができます。ただしこの場合、H家は毎月家賃を払いながら賃貸住まいとなります。

 

2.老齢厚生年金を「繰上げ受給」する

H夫妻の老齢厚生年金の受給見込額は[図表3]のとおりです。

 

出所:筆者作成 なお、Hさんが65歳である1年間は加給年金も受給できる。
[図表3]H夫妻の老齢厚生年金受給見込額 出所:筆者作成
なお、Hさんが65歳から1年間は加給年金も受給できる。

 

65歳の年金受給開始を待っていてはそれまでの生活が成り立たないため、60歳から繰上げ受給します。ただし、繰上げ受給の申請後にこれを取消すことはできません。繰上げ受給した場合の年金額は、約121万6,000円(月額約10万円)となります。

※ 詳細と注意点については、日本年金機構HP「年金の繰上げ受給」を参照。

 

3.Hさんが働く

Hさんが無職のままでは、家計は苦しくなる一方です。そこで、Hさんが気分を一新して働くために、「ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)」に参加して職場を見つけるのもひとつの方法です。

 

「ハロートレーニング」では、主に雇用保険を受給できない求職者を対象に、就職に必要な職業スキルや知識を習得する職業訓練を無料で実施しています。また、一定の支給要件を満たせば、職業訓練の受講を支援するための給付金(職業訓練受講給付金)が受けることができます。ただし、テキスト代は自己負担となります

※<参考>厚生労働省HP「ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)」

 

1~3のいずれか、または複数の方法を組み合わせて、今後の収入を確保するとよいでしょう。

 

まとめ

順調に出世していたHさんが、なぜ「早期退社制度」を利用して退職したのでしょう。そこには秘めた理由もあったかもしれません。

 

いずれにせよ、Hさんは早期退職してからの約10年、妻や子どもたちに多くの心配をかけてきました。これからの生活は夫婦でよく話し合い、家計収支の推移を定期的に点検することが、子どもたちのためにも大切なことです。

 

 

牧野 寿和

牧野FP事務所合同会社

代表社員

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

■入所一時金が1000万円を超える…「介護破産」の闇を知る

 

■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走

 

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧