「月給÷160」をしてみると…?元「年収300万円・残業時間100時間超・残業代0円」が教える〈ブラック企業の特徴〉10選

「月給÷160」をしてみると…?元「年収300万円・残業時間100時間超・残業代0円」が教える〈ブラック企業の特徴〉10選
(※写真はイメージです/PIXTA)

いまやスマホ1つで簡単に仕事探しができる時代ですが、キャリアコンサルタントの森田昇氏は、すぐ応募できる体勢を整えるためにも「事前準備」に最低3ヵ月はかけるようアドバイスします。転職の成否は事前準備にかかっているといっても過言ではありません。事前準備の一環として、本稿では森田昇氏の著書『年収300万円から脱出する「転職の技法」』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、「ブラック企業の見極め方」を紹介します。

「会社選びの判断軸」ナシで転職先を探すのは危険

事前準備のうち①転職の目的を決め、②自己分析まで済んだなら、ここから③会社選びの判断軸を作り上げていきます。この会社選びの判断軸が定まっていない状態で転職先を探してしまうと、ブラック企業を引き当ててしまう可能性が高まります。

 

この見極め方をぜひ、今まさにブラック企業にいる人が、年収300万円で酷使されている状況から脱出するための知恵袋として使っていただけると嬉しいです。私も新卒入社の会社が月の残業時間100H超なのに残業代0円、年収300万円というブラック企業だったので(1社目)、当時知っておきたかったことを漏れなく書きますね。

 

厚生労働省は「ブラック企業」について明確に定義していませんが、一般的な特徴として、①労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す、②賃金不払残業やパワーハラスメントが横行する等、企業全体のコンプライアンス意識が低い、③このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う、と言われています。もちろん、「それぞれの会社による」という前提はありますが、ブラック企業になりやすい業界というものは存在します。

こんな業界構造はブラックになりやすい

これは業界の構造的に儲けることが難しいため、社員や組織へ投資することができずに待遇が悪化している業界のことです。「業界の構造が悪い」としか言いようがないので、技術革新でどうにか改善されることを願っています。そうでないと、こういった業界が選ばれなくなりますから。

 

そんな構造とは、以下のとおりです。

 

・価格競争が激しい

・利益率が低い

・労働集約型

・個人相手の事業

・衰退している

・その結果、もうブラック業界だと知れわたってしまった業界

 

価格競争=コスト競争でもあるので、コストダウンは間違いなく人件費がターゲットにされます。熾烈なコスト競争は社員の待遇悪化を引き起こします。これは利益率の低さも同様で、どちらも儲からないため長時間サービス残業が横行しやすく、なのに年収300万円以下、という業界がざらです。代表的な業界は、商品として差別化できない生活必需品を多く取り扱っている小売業(スーパー・コンビニ・デパート等)です。

 

労働集約型といった、人間の労働力をあてにしてビジネスを回している業界も待遇が悪くなります。人間の力を前提としたビジネスモデルなので、人間が頑張らないと回らず、どうしても労働環境が悪化しやすくなります。現場の人間の力で成り立っている飲食業や運送業(トラック等での配送)に加え、IT業界もまた、「IT土方」と揶揄されるように人力と力技に頼っている側面もあるので、労働集約型に当てはまります。非対面・非接触での遠隔操作や自動運転、AIでの超高速プログラム開発やノーコードツールの早期普及が待たれます。

 

個人相手の事業では、接客なしではビジネスが成立しないため、時間あたりの売上が低くなります。労力をいくらかけても利益は薄いといった薄利多売ビジネスになりやすいので儲かりません。また、接客が中心になると労働集約型にもなってしまうため、ますます社員の労働環境が悪化します。個人相手の接客が必須な業界としてはアパレルやブライダル業界、介護・福祉が挙げられます。

 

介護・福祉以外は儲かりにくい業界かつ、利用者が減っている衰退業界なのでブラック化が進んでいます。このような業界では、毎年同じことをしているだけでは売上や利益が減っていく状況に陥っています。

 

これらの業界はすでにブラック業界と知れわたっているので、常に人手不足です。必然的に1人当たりの仕事量が増え、ますますブラック化するという負の連鎖に陥っています。

 

狙い目なホワイト業界は、その逆です。利益率が高いために価格競争も勃発せず、大規模設備や高度な知識等を軸に法人を相手にしたビジネスモデルであるため、誰もがホワイト業界だと認識しています。

 

もちろん、業界だけで括れない例外的な会社はたくさんありますが、業界選びの参考にしていただければと思います。

次ページブラック企業の特徴10選

※本連載は、森田昇氏の著書『年収300万円から脱出する「転職の技法」』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集したものです。

年収300万円から脱出する「転職の技法」

年収300万円から脱出する「転職の技法」

森田 昇

日本能率協会マネジメントセンター

年収が少なくて悩んでいる方に朗報です。深刻な人手不足と世界的なインフレで、人材の需給バランスが歪んでいる今こそ、転職の最大のチャンスです。もし今の仕事が過酷なのに年収が300万円程度である場合、それは入る会社や業…

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