(※画像はイメージです/PIXTA)

きょう(2023年4月1日)から、出産育児一時金が50万円へと増額されます。このほかにも、わが国には、出産・育児に関連して受け取れるお金の制度があります。本記事では、それらの制度と、少子化対策における現状の課題について解説します。

◆公的サポートが妊娠・出産、初期の子育てに偏重している

第一に、公的サポートが「妊娠・出産」「初期の子育て」に偏重しているということが指摘されています。

 

給付の制度一つとっても、本記事で取り上げた6種類のうち、「出産育児一時金」「出産手当金」「出産・子育て応援給付金」「育児休業給付金」は妊娠・出産と、ごく初期の子育てに関するものです。

 

「児童手当」は中学生までであるうえ、2段階の所得制限もあります(ただし、前述の通り、撤廃の方向で調整が進められています)。

 

「高等学校等就学支援制度」は、授業料を実質無償にする制度です。しかし、中学校までは授業料が無償なのに加え児童手当も受け取れることと比較すると、事実上、高校生以降はサポートが手薄になるのは否めません。

 

むしろ、教育費の負担が増大していくのは高校生以降であり、そこが子を持つ親にとっての最大の不安要素であるという実態があります。

 

なお、東京都では、2024年から18歳以下の都民に1人あたり5,000円を給付する制度を所得制限なしで導入することを予定しています。

 

◆育児と仕事を無理なく両立できる環境が不十分である

第二に、育児と仕事を両立できる環境の整備が不十分であるとの指摘があります。

 

今日では夫婦共働きが当たり前になっています。しかし、男性の育児休業取得率は2021年時点で13.97%ときわめて低い水準にとどまっています(厚生労働省「令和3年度(2021年度)雇用均等基本調査」)。

 

今なお、事実上、母親のみに育児の負担が集中しがちという実態があると断ぜざるをえません。

 

女性が出産・子育てのためキャリア形成を諦めなければならないというのでは、子どもを持たないという選択肢をとることもやむを得ないというべきです。

 

父親と母親がいずれも、育児と仕事を無理なく両立できるようにする環境の整備は急務です。

 

◆教育費の負担が増大しているのに所得は減っている

第三に、教育費の負担が増大しているのに実質所得が減っているということが挙げられます。

 

私立大学の授業料の平均値は、2001年に年799,973円だったのが、2021年には年間930,943円に増加しています。16%以上も増えたということです(文部科学省「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査」)。

 

ところが、同じ期間において、国民の実質所得は減少しています。物価高や消費税の増税、老後不安の問題もあります。自分が生きていくことで精いっぱいで、子どもを産み育てるどころではないという人が増えています。

 

これらの課題はかなり以前から何度も指摘されてきていることであり、国会、政府には本腰を入れた「異次元」の取り組みが求められています。

 

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