(※写真はイメージです/PIXTA)

相続トラブルを避けるために有効な「遺言書」ですが、遺言書には一定の「決まり」が存在し、不備があると遺言として認められないという注意点があります。実際に、遺言書が正しく作成・保管されていなかったことによるトラブルは後を絶ちません。そこで今回、元税務調査官で相続専門40年のベテラン税理士秋山清成氏が、遺言書作成に関する注意点と正しい手順、さらに信託銀行が取り扱う「遺言信託」を勧めないワケを解説します。

一見便利な「自筆証書遺言」の落とし穴

「自筆証書遺言」とは、遺言者自身が手書き(自筆)で遺言の内容や日付を書き記し、署名・捺印をしたうえで、作成した遺言書を遺言者本人が保管するものです。

 

自筆証書遺言は、自分一人で作成することができる、場所に縛られることなく作成することができる、思いついたときや空いた時間に作成できる、修正や書き直しが比較的簡単できる、必要なのは紙とペン、実印、封筒、糊のみというメリットがあります。

 

遺言書本文自体は、すべて自筆で作成することが法律で定められていますが、財産目録の部分はパソコンでの作成が可能になりました。しかし、パソコンで財産目録を作ってもページごとに日付、署名は必ず自筆で行い、実印の捺印を忘れないようにしましょう。

 

遺言は法的効力を持つものであり、一定の形式があります。不備があると遺言として認められません

 

遺言が無効となる形式面の不備の一例として、遺言書を作成した日付が「令和4年12月大安」といった具体的な日付を特定できないものや、遺言書に署名・捺印がない、また加筆や訂正、削除の仕方が正式なルールに則っていない、というものがあります。

 

また、間違って遺言書本文をパソコンで作成してしまうと、せっかく時間と労力をかけて書いても遺言書そのものが無効となります。

 

「自筆証書遺言」には紛失・改ざんのリスクがある

自筆証書遺言は自分で保管します。銀行の貸金庫なら安心ですが、保管場所が机、タンス、本棚などは将来的に遺言書を紛失する恐れがあります。あまり奥にしまい込むと、自分の死後、家族に遺言書を見つけてもらえない可能性もあります。

 

また、修正や書き直しが比較的簡単にできるという特性上、家族が勝手に遺言書の内容を改ざんするというリスクもあります。

 

「自筆証書遺言」の開封は裁判所で行う

自分が亡くなったのち、自筆証書遺言が発見されても、相続人が勝手に開封(中身を確認)をしてはいけません。それは相続人全員の同意があっても同様です。

 

なぜなら第三者による偽造などが行われていないかを確認するため、相続発生後に代表者が家庭裁判所に出向き検認手続きをする必要があると、民法で定められているからです。

 

この検認手続きをしなくても遺言書自体が無効になることはありませんが、あまりにも悪質だと5万円以下の過料が科されます。

 

何よりも不動産の名義変更を行う際には、家庭裁判所の検認済証明書を添付した遺言書が必要になります。

 

次ページ相続トラブルを防ぐ「自筆証書遺言書保管制度」とは

※本連載は、秋山清成氏による著書『元国税 相続専門40年ベテラン税理士が教える 損しない!まるわかり!相続大全』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

元国税 相続専門40年ベテラン税理士が教える 損しない!まるわかり!相続大全

元国税 相続専門40年ベテラン税理士が教える 損しない!まるわかり!相続大全

秋山 清成

KADOKAWA

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