◆従業員からの責任追及
従業員からの責任追及は、以下のようなケースが考えられます。
・違法解雇
・セクハラ・パワハラ
・職場でのいじめ
・労働災害
これらのケースで、会社と取締役個人の両方を訴えてくることがあり得ます。
会社に対する責任
会社に対する責任は、株主総会や取締役会の決議に基づいて会社に訴えられる場合だけではありません。
株主1名でも提起できる「株主代表訴訟」(会社法847条・423条)の可能性もあります。中小企業・同族企業の場合、むしろこちらのリスクの方が大きいともいえます。
取締役が会社に対して負う法的責任で主要なものは、以下の通りです。これらに違反した場合に、会社から責任を問われるリスクがあります。
【取締役の主な法的責任】
・善管注意義務・忠実義務(会社法330条・355条):会社の利益を第一に考えなければならない
・競業避止義務(会社法356条):原則として会社と同じ事業をしてはならない
・利益相反避止義務(会社法356条):原則として会社と取引してはならない
特に要注意なのが「善管注意義務・忠実義務」です。自分自身が順守するだけでは足りず、他の役員が変なことをしないよう監視する「相互監督義務」も含まれます。
この「相互監督義務」はきわめて深刻です。「力関係の差があって逆らえなかった、異論が許されなかった」という理由では免責されないのです。
最低限、「やめさせようとしたがやめてくれなかった。だから役員を辞任した」くらいまでしない限り、免責されません。
まとめ
経営者は日々、難しい経営判断を迫られています。今後、経済状況が不透明さを増していくなか、これまでにも増して、微妙な舵取りが求められることが予想されます。
会社のために、と考えて行った経営判断について、重い個人責任を問われる事態が考えられます。
そんななかで、役員賠償責任保険は、そのようなリスクに備える有効な手段の一つだといえます。
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ
■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走