「兄貴だって3,000万円も結婚祝いもらっていたじゃないか!」相続における「守る者と攻める者」の“不公平な真実”【弁護士が解説】

「兄貴だって3,000万円も結婚祝いもらっていたじゃないか!」相続における「守る者と攻める者」の“不公平な真実”【弁護士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「争族」と呼ばれる相続争い。巻き込まれてしまった場合、どう対応すればよいのか。また、これから相続対策をする場合にも、「争族」のリアルと転ばぬ先の戦略をぜひとも知っておきたい。本連載では、弁護士 依田渓一氏の著書『負けない相続』「物語編」の3つのエピソードの中から「地主である父の遺言書に従えば何ももらえなくなってしまう、自称バンドマンの純二」を主人公としたストーリー『遅咲きのスミレ』と、その解説を一部抜粋し、紹介する。

冴羽が秀一に、遺留分侵害額請求を行う旨を記載した内容証明郵便*1を送ると、しばらくして秀一が依頼したという海原弁護士から受任通知が返ってきた。話し合いで解決を求めるとの内容であるという。

 

ここで困ったことに、冴羽が海原との面談に、純二も同行してくれないかと冴羽が言ってきた。

 

事件の進み具合が理解できていないとよくないからだそうだ*2。親切で言ってくれているのは分かるが、正直ちょっと面倒くさい。とはいえ、無職の純二に冴羽の誘いを断る口実などあるはずもなく、仕方なく付いていく羽目になったのである。

 

兄の弁護士「1億円で手を打ってくれないか」

純二は人生で初めて、弁護士会館という建物に足を踏み入れていた。名前も初めて聞いたし、弁護士専用なのかと思ったが、ちょっとしたレストランフロアもあり、そこへは誰でも入れるようだ。

 

9階の待合室で海原を待つ間、冴羽も海原も第二東京弁護士会に所属しているからここを利用することにしたと、冴羽が話していた。

 

その説明はよく分からないが、待合室の眼下には日比谷公園が広がり、少し遠くに目をやると帝国ホテルやペニンシュラホテルが見え、悪くない眺めだった。

 

海原が現れると、海原と冴羽は名刺交換をすませ、純二を連れて面談室に移動した。

 

2人の弁護士は早速何やら高度な話し合いをしていたが、海原が、話し合いで解決したいと思っていること、遺産の中には現預金が6000万円しかないが、純二が受け取る1000万円の生命保険金とは別の、秀一を受取人とする達郎の生命保険金4000万円があるから、それらを合わせた1億円を純二に対して支払うことで手を打ってもらえないかと海原が提案していることは分かった。

 

冴羽は、その金額での解決は難しいと、即座に回答していた。

 

「海原弁護士の本日の提案は受け入れられるものではありませんでしたが、彼とはある程度前向きに話し合いができそうなので、引き続き継続的に面談を行うこととしましょう」

 

帰り際に冴羽がそんなことを言っていた。純二の霞が関通いはもうしばらく続きそうだ。この頃にはもう、官庁街に対するアレルギーはほとんど消えていた。

 

*1:いつ、いかなる内容の文書が誰から誰あてに差し出されたかということを、郵便局が証明する書留郵便のこと。期間制限がある行為について、その期間内に行ったことを証明するために使用されることが多い。

 

*2:事案の種類や弁護士の考え方などにもよるが、依頼者自身の理解を促すために面談や裁判所手続に依頼者を同行させることも珍しくない。

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負けない相続

負けない相続

依田 渓一

中央経済社

▼相続紛争の起承転結が小説で分かります▼ 相続の悩みを抱える3人の依頼者が、敏腕弁護士・冴羽のもとを訪れた。 子沢山の妹に実家を追い出されそうな直子、実家も賃貸マンションも弟たちには絶対に譲りたくない光代、遺…

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