(※写真はイメージです/PIXTA)

料理はとても認知機能を使う仕事です。配偶者がいる男性は妻だけにその究極の認知症予防をさせていてはもったいない。厨房に参戦して自分の食生活を見直してみましょう。老人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい』(廣済堂出版)で解説します。

脳は誰でも縮むし、認知症になる

■軽度認知障害――脳も使わないと衰える

 

「軽度認知障害(MCI)」という状態があります。最近、使われている用語ですが、「Mild Cognitive Impairment」の略でMCIといいます。

 

この状態は、健常でも認知症でもない中間の状態です。ちょっとボケてきたな、という感じでしょうか。生活に支障はきたさないけれど、物忘れが増えてきたと感じることは誰にでもあります。

 

このMCIの状態を放置すれば、認知症への進行は早くなります。

 

85歳になれば約半数の人に認知症レベルの知的機能の低下が認められますが、認知症になり生活できなくなる状態を遅らせたいと思うなら、MCIと診断されたら自分の生活にテコ入れをしていったほうがいいでしょう。

 

先にフレイルとサルコペニアの言葉を説明しました。老いて放っておけば虚弱になり、筋肉は減ります。それと同じように、脳も使わないと衰えていきます。

 

脳は誰でも縮むし、究極的には誰もが認知症になると思っていいと私は考えています。過度に怖がらないでほしいのですが、症状を遅らせたいのなら予防することも必要です。

 

WHO(世界保健機関)では、「認知機能低下および認知症リスク低減」のための12のリスクを発表しています。

 

①運動、②禁煙、③栄養、④飲酒、⑤認知トレーニング、⑥社会参加、⑦減量、⑧高血圧、⑨糖尿病、⑩高脂血症、⑪うつ、⑫難聴

 

高血圧や糖尿病などいくつか私には同意できかねるものがありますが、これらのリスクへ早期の介入をすることが、認知症予防になるということです。

 

最近、自治体では介護保険制度とは別に、体操教室や要介護前の人たちの集う場を設けているところも多くなりました。

 

これはずばり、認知症予防のためです。最近の高齢者は、老老世帯や単独世帯といった形で、子ども世帯と生活は別々という人が多いです。人との交流も減り、家にいてもそれほどやることもないとなれば動かなくなります。それは虚弱と認知症を招き込みやすくなります。

 

要介護の人が増えると、介護保険制度の財政を圧迫します。自治体は財政の圧迫を少しでも減らしたいと介護予防事業に力を入れていき、認知症のリスク回避の啓蒙をしていきたいと考えています。

 

これらの事業も意義のあるものだと思いますが、あまりにも回数が少ないのが現実です。これも財政的な問題があると思うので、仕方がないかもしれません。

 

ですから、みなさんには行政だけを頼りにせずに、できれば毎日、自分自身にリスク低減の努力をしていってほしいと思います。自分にあったリスク低減を自分で考えていきましょう。考えることが予防にもなります。

 

次ページ料理は究極の認知症予防になる

本連載は和田秀樹氏の著書『80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい』(廣済堂出版)より一部を抜粋し、再編集したものです。

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