写真提供:オオカワ建築設計室 写真:haga gensho

知られざる「日本の住宅とその性能」について焦点をあてる本連載。今回は、寒すぎる日本の家が健康に与える様々な影響についてみていきます。

足下が寒い家の「居住者の血圧」は高い⁉

『得られつつある知見-2』では、「居住者の血圧は、部屋間の温度差が大きく、床近傍の室温が低い住宅で有意に高い」と報告されています。

 

高血圧予防の観点から、局所暖房(居間のみを暖める暖房)は好ましくなく、住宅全体を適切に暖房する必要性が示唆されています。たとえば、居間と寝室の室温を両方とも18℃に保つ場合に比べて、居間が18℃、寝室が10℃の場合では(部屋間温度差が大きくなると)、起床時の最高血圧がさらに2mmHg高いのだそうです。

 

そして、起床時と就寝前の最高/最低血圧に対する室温の影響を検証したところ、[図表2]に示すように、床上1mの室温が1℃低下した場合よりも、床近傍の室温が1℃低下した場合の方が、血圧への影響が大きかったということです。

 

[図表2]

 

つまり、家全体の室温よりも、足元の寒さの方が健康によくないということだそうです。足元が寒くない家にするためには、以前、説明したコールドドラフトが生じない断熱性能や、足元に冷たいすきま風が入らないようにする気密性能の確保が重要です(関連記事:『高気密・高断熱の暮らしは、人生の質(QOL)を激変させる!?』)。

高断熱化すると「起床時の血圧」が下がる

『得られつつある知見-3』では、「断熱改修後に、居住者の起床時の最高血圧が有意に低下する」のだそうです。[図表3]に示すように、断熱改修前後の2回測定を行った居住者(改修あり群)と断熱改修せずに2回測定を行った居住者(改修なし群)の血圧変化量を分析した結果、断熱改修後の起床時の最高血圧は3.5mmHg、最低血圧は1.5mmHg低下したということです。断熱改修による室温上昇がその一因だとしています。

 

[図表3]

 

なお、厚生労働省は『健康日本21(第二次)』で、40~80歳代の国民の最高血圧を平均4mmHg低下させることで、脳卒中死亡数が年間約1万人、冠動脈疾患死亡数が年間約5千人減少すると推計しています。

 

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