(※写真はイメージです/PIXTA)

相続には十人十色の事情があり、場合によっては家族や親族同士の関係を壊してしまうこともあります。そうした事態を避けるためにはどうすればよいのでしょうか。相続に必要な知識や相続を円満に進めるコツについて、後藤光氏が代表を務める株式会社サステナブルスタイルが運営する、相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』の記事から、一部編集してお届けします。

遺贈と死因贈与のメリット・デメリット

遺贈と死因贈与のメリット

それぞれのメリットは次の通りです。

 

遺贈のメリット

遺贈は遺言書で遺言者が誰に財産を引き継いでもらいたいか意思表示する制度です。そのため、遺言者本人が相手方の同意を得ずに、自由に取り決めができます。作成した遺言書を破棄し、新たに決めなおすことも可能です。

 

また、遺言書を誰の目も届かない場所へ保管しておけば、相続発生まで遺言書の内容を知られる心配はありません。

 

死因贈与のメリット

死因贈与は契約であるため、口頭でも成立します。ただし、後々に契約内容に関するトラブルが起きないよう、契約書の作成が望まれます。

 

また、贈与者側は生前から受贈者の合意の下で、負担付き契約の履行を設定できます。例えば贈与者本人の介護をしてもらう代わりに、亡くなった時に受贈者へ財産を贈与する、というような契約も可能です。

 

一方、受贈者側は死因贈与の効力が発生した場合、契約の際に取り決めた財産だけを取得でき、贈与者の債務(借金等)は承継しません。

 

遺贈と死因贈与のデメリット

それぞれ次の点に注意しましょう。

 

遺贈のデメリット

遺贈は遺言者の一方的な意思表示で成立しますが、受遺者の判断で遺贈を放棄できます。つまり、遺言者の希望通りに財産の引き継ぎが行われないケースもあります。

 

また、遺言書には厳格なルールがあり、遺言者本人だけで作成できる自筆証書遺言の場合、日付・自署押印等の記載漏れがあると、遺言書自体が無効になってしまいます。

 

死因贈与のデメリット

死因贈与は契約であるため一方的に贈与者側で贈与内容の取り決めはできず、受贈者と話し合いをして合意へ達しなければ有効な契約にはなりません。

 

また、契約を締結させた以上、贈与者側・受贈者側ともに、一方的な判断で贈与の撤回や受取拒否をすることはできません。

遺贈と死因贈与はどちらを選べば良い? “最適な選択肢”をパターンごとに解説!

被相続人が遺贈・死因贈与の双方を準備していた場合、書類に明記した日付の新しいものが優先されます。

 

なお、死因贈与を契約したにもかかわらず、契約書として書面化していないと、契約日が不明確になるおそれもあるため、契約書の作成をおすすめします。

 

ここではパターンごとに遺贈・死因贈与のどちらを選ぶべきかを解説します。

 

遺贈を選択すべきケース

家族に知られず、財産を誰に引き継ぐかを決めたい場合は遺贈が最適です。遺言書の存在を家族に教える必要は無いため、遺言者が亡くなり、遺品整理の際に発見されるよう保管しておくことができます。

 

また、相続財産の中に不動産資産(土地・建物)が多い場合も遺贈を選んだ方が無難です。法定相続人に不動産を引き継ぐ場合、不動産取得税はかからないためです。

 

相続税が課される可能性はありますが、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以内に各相続人の課税遺産総額が収まれば、申告・納税は不要です。

 

死因贈与を選択すべきケース

ご自身が亡くなった後、その配偶者の介護を負担させる人(子など)に対しては遺贈で指定しても構いません。ただし、生前の負担付遺贈は認められません。

 

一方、生前にご自分が介護を受けたいならば、負担付死因贈与を選ぶべきです。死因贈与は双方の合意で契約するため、贈与者が介護してもらう見返りに受贈者に贈与する内容も有効です。

 

また、受取を拒否してもらいたくない財産(例:家族みんなで住んでいた家等)を贈与する場合も、死因贈与が最適です。贈与者・受贈者が合意の上で契約する形をとるので、一方的な撤回・拒否は認められません。

 

次ページ遺贈と死因贈与、それぞれの手続きを解説!

※本記事は、株式会社サステナブルスタイルが運営する相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』より転載したものです。

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