長期的にはどんな展開が予想されるか
――では、今後長期的にどのような展開が予想されますか?
荒磯「今年のうちに注目すべきポイントがいくつかあります。わかれ道が存在するのです。図表5をみてください。
年内にも問題を解決しようというパターンがAです。これがわかれ道の1つ目です。『目先はいいが、あとが厳しい』とまとめていますが、これは景気が悪くなってきたら利下げするというシナリオです。
この場合、利下げは景気や金融市場を守るというメッセージですから、かなりグッドニュースになります。しかし、物価が十分下がっていないのに利下げをしたら、またインフレがぶり返すことを心配しなければなりません。これは実際に1970年代に経験した『失敗』です
したがって、『目先はいいが、あとが厳しい』ということになるのです。ただし、このシナリオは十分あり得ると思います。
一方で、アメリカの政策当局が本当にやりたいのは、Bのシナリオです。『目先が厳しいがあとでハッピー』とはどういうことかというと、物価が下がるまで利下げはせず、高金利をキープするという戦略です。
物価が下がってくれば、景気が落ち込んでいてもあとで景気対策をじっくりやればいいよ、こっちの問題を片付けてから景気に取り組もう、というシナリオです。
FRBはBのシナリオをやりたいというイメージをはっきり持っているので、経済環境がそれを許すかです。物価の動向と政策金利の動向の組み合わせがどうなるか、2023年はもちろん、さらに数年先までを大きく左右します」
――Bのほうが経済を軟着陸させられるというシナリオですね。
荒磯「そうですね。うまくそこまで持っていけるか、あるいは利下げしないで我慢できるかが最大の注目点です」
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荒磯 亘
運用戦略部/ポートフォリオ戦略室長
アライアンス・バーンスタイン株式会社
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