(写真はイメージです/PIXTA)

インフレや金融政策動向が見通し難いなか、米国経済の見通しは非常に不透明です。はたして、2023年はどうなるのでしょうか。株式ストラテジストのニッセイ基礎研究所、窪谷 浩氏の分析です。

【貿易】海外との成長率格差から23年以降、外需の成長率寄与度は小幅なプラスが継続

実質GDPにおける外需の成長率寄与度は22年7~9月期に+2.9%ポイントと成長率を大幅に押し上げたが、輸出入の内訳をみると輸出が前期比年率+15.3%(前期:+13.8%)と2桁の伸びとなった前期からさらに伸びが加速したほか、輸入が▲7.3%(前期:+2.2%)と前期からマイナスに転じており、当期は輸出入ともに成長率を押し上げる方向に働いた。とくに、輸出はウクライナ侵攻に伴う石油・石油製品が前期比年率+41.0%(前期:+36.0%)と前期に続き大幅な伸びを示した。しかしながら、このような大幅な輸出の増加は持続不可能だろう。

 

実際に、先日発表された22年10月の貿易収支(3ヵ月移動平均)は季節調整済で▲727億ドル(前月:▲702億ドル)の赤字となり、前月から赤字幅が▲25億ドル拡大した(図表16)。輸出入では輸入が+10.8億ドル増加したほか、輸出が▲14.1億ドル減少しており、輸出は勢いを失っている。このため、実質GDPにおける外需の成長率寄与度は10~12月期にマイナスに転じるだろう。

 

一方、IMFの見通しに基づく米国の輸出相手国上位10ヵ国の平均成長率は、23年と24年ともに輸出相手国の成長率が当研究所の米国成長率見通しを上回るとみられる(図表17)。このため、海外との成長格差から、純輸出の成長率寄与度は23年以降に再びプラスに転じる可能性を示唆している。

 

当研究所は外需の成長率寄与度について、22年見込の▲0.8%ポイントから23年、24年ともに+0.2%ポイントと小幅ながらプラス寄与を予想する。

 

【図表16】【図表17】
【図表16】【図表17】

 

なお、バイデン大統領の対中関税政策については一時インフレ抑制の観点から一部を削減することなどの見直しが議論されたが、現状で対中関税政策の見直しは行われていない。米国通商代表部(USTR)は18年7月(リスト1)と8月(リスト2)に発動した制裁関税について22年9月に国内産業界から継続の要望があったとして継続することを発表した一方、11月15日から23年1月17日までの期間にパブリックコメントを受けるとしている。バイデン政権が来年以降にどのような方針を示すのか注目される。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2022年12月9日に公開したレポートを転載したものです。

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