(※写真はイメージです/PIXTA)

世界では、デモや集会が暴動へと発展するケースがあります。同質社会の日本は、混乱が起きにくいという強みを持つ一方で、個性を発揮しにくいという弱みがあるのかもしれません。ジャーナリストの岡田豊氏が著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社、2022年2月刊)で解説します。

「個人」を尊重しない自民党の改憲案

■「憲法改正草案」から削られた「個」、「公の秩序」を優先する発想

 

「第十三条 (すべて)国民は、(個人)として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、(公共の福祉)に反しない限り、立法その他の国政の上で、(最大の)尊重(を必要とする。)」

 

これが日本国憲法の第十三条です。基本的人権の内容を書いた第三章に置かれ、日本国憲法の三大原理の根底となる「個人の尊厳」を規定しています。

 

しかし、自民党が掲げる「憲法改正草案」では日本国憲法の第十三条を次のように変えようとしています。

 

「第十三条 (全て)国民は、(人)として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、(公益及び公の秩序)に反しない限り、立法その他の国政の上で、(最大限に)尊重(されなければならない。)」

 

カギカッコ「( )」をした部分が変更箇所です。

 

最も大きな違いは、現状の「個人として尊重される」を「人として尊重される」と変えたことです。尊重されるのは、「個人として」から「人として」に変わりました。つまり、「個」を削除しようとしています。さらに「公の秩序に反しない限り」が追加されます。「公の秩序」を優先する考え方です。

 

この「憲法改正草案」が成立すると、懸念されるのは、「個人」を尊重しない国家になるのではないかということです。自民党の「憲法改正草案」の中で私が最も危惧しているのがこの十三条です。

 

自民党憲法改正推進本部の副本部長だった礒崎陽輔・元参議院議員は、自身のホームページで、この「憲法改正草案」について次のような解説をしています。

 

『第13条は、従来幸福追求権の規定と言われており、そのことに変更はありませんが、「個人として尊重される」という部分については、個人主義を助長してきた嫌いがあるので、今回「人として尊重される」と改めました。従来の「個人として尊重される」がやや意味不明な文言であり、「人の人格を尊重する」という意味で「人として尊重される」で十分と考えたところです』

 

礒崎さんは自治省の官僚出身。安倍政権で首相補佐官などを歴任し、憲法草案づくりに携わってきました。その礒崎さんは『「個人として尊重される」という部分については、個人主義を助長してきた嫌いがあるので、今回「人として尊重される」と改めました』と主張しています。「個人主義を助長してきた嫌いがある」という認識で憲法を変更しようとしました。

 

私の認識は彼とは真逆です。個を尊重する考え方は、まだまだ日本に浸透していないと心配しています。個人より国家が優先されがちなのが現状ではないでしょうか。礒崎さんの認識には正直、驚きを感じました。自民党政権の本質の一端を見せつけられたようでした。

 

国家の統制・管理を強め、私たち個人をさらに息苦しくするような発想だとすれば、強い懸念を示したいと思います。みなさんは、どう受け止めているのでしょうか。

 

岡田 豊
ジャーナリスト

 

 

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本連載は、岡田豊氏の著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社、2022年2月刊)より一部を抜粋し、再編集したものです。

自考

自考

岡田 豊

プレジデント社

アメリカでの勤務を終えて帰国した時、著者は日本は実に息苦しい社会だと気付いたという。人をはかるモノサシ、価値観、基準の数があまりにも少ない。自殺する人があまりにも多い。笑っている人が少ない。他人を妬む。他人を排…

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