(※写真はイメージです/PIXTA)

「眼瞼下垂」は、その名の通りまぶたが下がってきて目が見にくくなる病態のことである。発症頻度が高い疾患のため、悩まれている方も多いだろう。「美容医療国際職人集団」と言われるJSAS会員であり、高須克弥医師の孫弟子にもあたる医療法人美来会理事長、九野広夫医師。九野氏は、美容医療の他院修正専門医院を立ち上げ、これまで数多くの不幸な医療事故や医療過誤を目にしてきた。本稿では九野氏に、「若年性眼瞼下垂」について解説いただく。

 

「若年性眼瞼下垂」の原因別分類と術式選択

若年性眼瞼下垂を(本連載【第3回】『名医や専門医に「眼瞼下垂」と診断されても、保険診療でも「上瞼の全切開」(挙筋短縮・前転法)がNGな理由』で提示した)当院の再定義で分類すれば、やはり「真性眼瞼下垂」と「仮性眼瞼下垂」に分かれ、それぞれに先天性のものと後天性のものに分類可能(計4通り)です。

 

その中の原因で最も多い「仮性眼瞼下垂」で先天性の4大要因を取り上げるとすれば、上眼瞼眼窩脂肪過多、クボミを伴う上眼瞼陥凹(眼窩脂肪過少)症、皮膚または組織の肥厚、蒙古ヒダの牽引(ツッパリ)です。

 

後天性のものは、アイプチによる慢性皮膚炎(かぶれ)やアトピー性皮膚炎、(カラーを含む)コンタクトレンズ装着、メイク・クレンジング時の過度の化学薬品暴露や物理的擦過、スポーツ外傷等が遠因・誘因になっているものが多く、中には二重瞼形成手術によって生じた医原的眼瞼下垂もみられ、近年増加傾向にあります。

 

術式選択においては、当院では全切開を伴う術式を一切除外し、個別の瞼の特徴や御希望レベルに合わせて、新挙筋法をベースにしながら必要時には上眼瞼マイクロ切開脱脂や完全オーダーメイドZ形成目頭切開術を組合せ(※)ます。

全切開をせずに上記術式(※)を全て組合せた若年性眼瞼下垂の治療症例

症例:19歳 女性 他院手術歴:なし(アイプチ歴8年)

 

希望デザイン:アイプチでもクセがつきにくいラインを安定させたい

 

方法:両側 完全オーダーメイドZ形成目頭切開LEVELⅢ&上眼瞼マイクロ切開脱脂術&新挙筋法2針4点固定法

 

治療合併症:内出血・炎症(発赤・熱感。・腫脹)・線維化等

ごくまれに糸露出・感染・後戻り・麻酔アレルギー・開閉眼障害等

Dr.コメント:

当院の「完全オーダーメイドZ形成目頭切開法」とは、折登先生の論文*からの原理を応用し独自に発展させた術式ですが、若年性眼瞼下垂症例への応用では、瘢痕が新たなツッパリ(瘢痕拘縮)にならない様にするためのデザインと縫合上の特段の工夫が必要でした。

本文中の学術誌(論文)*折登岑夫:形成外科(増刊号), Vol.43 S49-52, 2000

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