※画像はイメージです/PIXTA

なぜか事業承継が進まない……そこには大きく5つの理由が考えられます。それぞれの対処法も合わせてみていきましょう。

事業承継が進まないとどうなるか

スムーズに事業承継が進まない場合、会社はどうなってしまうのでしょうか? 考えられるのは廃業に至る未来です。タイミングによっては後継者・従業員・親族などに大きな影響を与えかねません。

廃業せざるを得ない

親族内や従業員に後継者が見つからず、M&Aを行おうとしても思うような承継先がないケースもあるでしょう。事業承継は後継者がいなければできません。どのような方法で探しても後継者が見つからなければ、廃業せざるを得ません。廃業すれば従業員は仕事を失います。従業員やその家族の暮らしにも影響する事態です。

 

加えて廃業には費用がかかります。さまざまな費用を負担すると、最終的に手元に残る資金がなくなるかもしれません。

経営者の急病で事業承継が困難に

事業承継の準備を進めないまま経営者が急病で倒れた場合、事業承継したくてもできない状態に陥る可能性もあります。経営者が意思表示できなければ、法律行為や経営判断も難しいでしょう。経営者が会社の株式を100%保有しているとすれば、他の株主が株主総会を開催し議決することもできません。会社としての意思決定が滞り、何もできなくなってしまいます。

 

このとき後継者が決まったとしても、一度社内外に広がった不安を払拭するのは難しいでしょう。金融機関での資金繰りがうまくいかず不渡りを出してしまう可能性も出てきます。従業員が退職し、人材不足の中で立て直しを図る困難な状況に直面することも考えられます。

大切な会社だから事業承継は計画的に

計画的な事業承継ができない場合、廃業しなければいけないケースや、事業承継が困難な状況になるケースがあると分かりました。大切に育ててきた会社だからこそ、事業承継をするなら早めに計画を立てて実行しましょう。

経営者の高齢化が進んでいる

『中小企業白書』に掲載されている経営者の年齢分布を確認すると『70代以上』の占める割合が増加しています。このことから経営者の高齢化が進んでいると分かるでしょう。経営者にとって会社は大切なものです。事業承継が必要だと分かっていたとしても、なかなか準備に取りかかれない気持ちを抱く人もいるかもしれません。

 

しかしそのままにしておくと、いざ経営者が働けない状態になったときに、会社の意思決定が遅れてしまいます。高齢になるほど病気のリスクは高まるものです。早めの準備が欠かせません。

5~10年を要する事業承継、早めに準備を

事業承継にかかる期間は『5~10年』といわれています。ただしこの期間は状況によって異なります。一から後継者候補を育てるのであれば10年以上かかる可能性もあるでしょう。既に後継者が育っているケースでは、事務的な手続きのみで事業承継が完了するかもしれません。この場合には半年程度の期間で事業承継できます。余裕を持って事業承継をするには、できるだけ早めに取りかかることが重要です。70歳で引退を考えているなら、60歳ごろには準備を始めましょう。

 

次ページ理由1:経営状況や事業の将来性への懸念

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。

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