アメリカには、すべての人が自らの努力で成功を摑むことができるという「アメリカン・ドリーム」の価値観があります。アメリカには金融経済と実体経済がうまく組み合う仕組みが、自然に出来あがっているのです。日本経済の分岐点に幾度も立ち会った経済記者が著書『「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由』(ワニブックスPLUS新書)で解説します。

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アメリカへの希望の源泉は経済成長にある

■政策の是非、その判断基準

 

アメリカの場合、すべての人が出身や階級に関係なく自らの努力で成功を摑むことができるという、所謂アメリカン・ドリームの価値観があります。ある種アメリカの美徳ですね。「努力すれば報われる」ということは、先にも説明しましたが「誰にでもチャンスがある環境」がきちんと整備してあることが前提となるので、マクロの経済環境に基づいたものです。つまり経済成長しなかったら、あり得ないことなのです。

 

もしアメリカで日本のようにゼロ成長やマイナス成長が四半世紀以上も続いたらどうなるでしょう。恐らく内乱状態で毎日のように人を殺し合うことになったでしょう。最近でもアメリカでは人種的な対立などいろいろな軋轢は起きていますが、恐らくその比ではないでしょう。

 

一方、私がワシントンに駐在した1980年代の半ばから後半に比べると、いま、アフリカ系アメリカ人の富裕層も結構増えています。それだけ経済が成熟したと言っていいでしょう。アメリカという国はそれだけの新たな活力を生み、不平等は同時に出来ますが、逆にそれまでの不平等は解消されています。絶えず更新されていると私は思います。

 

「アメリカという国はいつまで経っても格差が拡大していて、差別もあって問題なんだ」と言われますが、それでもアメリカに惹かれる人が多い、移住を希望する人が多いというのは、やはり希望がある、それは経済成長を続けているからです。

 

私はアメリカから国境を越えて、メキシコに足を延ばしたことが何度もありますが、いつも両国の落差に愕然としました。例えばアメリカのテキサス州エルパソとメキシコのシウダー・フアレス、アメリカのサンディエゴとメキシコのティファナは同じ気候風土です。

 

ところが国境を越えてメキシコに入ったとたんにバラックがバンバンあって、道はガタガタです。なぜこんなことが起きるのでしょう。

 

両国民の能力にそんな差があるのでしょうか。人間というものにはそんなに大きな能力差はないはずです。実際、ヒスパニック系はカリフォルニアにもテキサスにもたくさんいますし、社会的にも活躍しています。気候風土はむしろメキシコのほうが恵まれているくらいの印象ですが、インフラ整備は全然ダメ。それから教育をしっかりと受けた人が極めて少ない。貧困層が多い。そうなると政策がおかしいということになります。

 

政策がおかしいか否かを何によって判別するかというと、やはり経済政策(経済を成長させて、チャンスを公平に行き渡らせるような政策)が肝要になると思います。残念ながらメキシコはそれがお粗末なのでしょう。教育の問題ももちろんあります。政府がしっかり教育に投資していないと、人財が育つはずもないですから。アメリカとメキシコ、国境を挟んでこれほどの格差が生じるのは不思議ですが、それは政策が間違っているのです。

 

メキシコが経済成長していないわけではありません。ある程度はしているのでしょうが、意欲ある人にチャンスを与えるよう、環境を整えるまでには及ばないのだと思います。汚職が多いということもあるかもしれません。

 

実際にアメリカの企業をはじめ、各国企業がメキシコは労働賃金が安いから、喜んで進出しています。ただ繰り返しますが、周りのインフラはひどい。これは民度の問題とする向きはありますが、メキシコにも優れた人も勤勉な人もたくさんいます。教育が行きとどけば、そして将来に希望が持てる環境が整えば、ずいぶん変わってくるでしょう。

 

メキシコは慢性的に金融危機が起きるので、安定しません。そもそも開発が目的とはいえ、外国の銀行からお金を借りすぎです。第一次と第二次のオイルショックの頃にアメリカの銀行を中心に、メキシコに貸しまくりました。それが焦げ付いているのです。

 

田村 秀男
産経新聞特別記者、編集委員兼論説委員

 

 

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本連載は田村秀男氏の著書『「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由』(ワニブックスPLUS新書)の一部を抜粋し、再編集したものです。

「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由

「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由

田村 秀男

ワニブックスPLUS新書

給料が増えないのも、「安いニッポン」に成り下がったのも、すべて経済成長を軽視したことが原因です。 物価が上がらない、そして給料も上がらないことにすっかり慣れきってしまった日本人。ところが、世界中の指導者が第一の…

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