写真提供:BATTIRI DESIGN G.K.

人々の健康維持と住宅の断熱性・気密性には、密接な関係があることがわかってきました。住まいるサポート株式会社代表取締役・高橋彰氏が、この分野の第一人者、近畿大学建築学部長の岩前篤教授にインタビューします。

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2万人を超えるアンケート調査から判明した事実

住まいの断熱・気密性能が、居住者の健康に良いことは、これまでも複数の記事にわたって説明してきました。今回は、この分野の第一人者である近畿大学建築学部長の岩前篤教授に話を伺います。

 

近畿大学 副学長・建築学部長 教授

岩前 篤

和歌山市生まれ、1986年神戸大院を修了して住宅会社の研究所で住宅の断熱、省エネ、防露などについての研究開発に従事する。1995年、神戸大学で博士号を取得、2003年春、近畿大学に転職、2009年教授となり、2011年に日本初の建築学部創設と共に初代学部長、2022年4月より副学長に就任。


高橋:岩前先生は、2万人を超えるアンケート調査を行い、住宅の断熱性能とアレルギー・喘息との関係について明らかにされました。これはどのような調査だったのでしょうか?

 

岩前:新築戸建て住宅への転居を経験した方々合計24,000人を対象とした、転居前後の体調変化を聞くアンケート調査を行いました。その後、10万人を超える協力をいただいていますが、結果は当初発表のものとほとんど変わっていません。

 

手足の冷え、目やのどの痛み、気管支炎、花粉症、アトピー性皮膚炎など、尋ねたすべての症状に対して、転居後の断熱性能が高いほど、転居前に症状が出ていた人のなかで出なくなった人の割合が高くなるという結果です。つまり、住宅の断熱には居住者の健康改善効果があった、というものでした。

 

調査結果は、2010年に発表し、大きな反響が得られました。

 

[図表1]各種疾患の改善率と転居した住宅の断熱性能との関係

 

ただし、手足の冷えをのぞき、医学的な因果関係はいまも明確ではありません。ただ、低断熱で隙間だらけの住まいでは、いくら加湿しても水蒸気が室外に逃げていくので居室は乾燥しやすいこと、これに対し、高断熱化とこれに伴う気密化により、わずかな加湿で室内が高湿に保ちやすいことから、のどや肌、目などのコンディションが整えられやすいことが推察されます。これらによって、喘息も発現しにくくなると思われます。

 

高橋:断熱性能が低い住まいは、結露が生じ、カビ、ダニが発生しやすくそれがアレルゲンになっているのではないかという指摘もあるようですが、その点はいかがでしょうか?

 

岩前:はい、そういう理由も十分に考えられます。カビやダニのすべてが人の健康障害になるわけでありませんが、一定以上に増加すると、そのリスクは高まると考えても良いと思います。

 

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