「確定申告するのが面倒くさい」「節税したいけど、どうしたらいいか分からない」……、毎年このような声をよく聞く。日本の税制は、納税者自ら確定申告をする「申告納税制度」で、申告内容の一部は納税者の選択に委ねられているのだ。申告相談に携わった元国税専門官が、節税にはどっちが得なのか、プロの税金術を公開する。本連載は小林義崇著『元国税専門官が教える! 確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?』(河出書房新社) より一部を抜粋し、再編集したものです。

申告書の作成、税理士、自分でやる、得なのは?

正解:節約のために自分で毎年の確定申告をやってみる

 

確定申告書は、税理士に代理してもらうことができます。じっさい、フリーランスの人でも毎年税理士に記帳や確定申告書の作成を依頼している人は少なくないようです。

 

ただ、私の考えとしては、フリーランスなど、小さな規模でビジネスをしている人であれば、税理士に依頼する必要はありません。というのも、その代金に見合ったリターンを得るのが難しいからです。

 

税理士の報酬は、売上の規模や、どこまでの作業を依頼するかによっても変わりますが、フルで依頼をすると年間数十万円程度の費用がかかります。もちろん、こうした費用が気にならなければ、時間の節約のために税理士に依頼するのはありです。でも、せっかくの節税効果が税理士費用で消えてしまうのはもったいないのではないでしょうか。

 

一般的に、税理士報酬は作業量に応じて報酬を段階的に設定しているので、税理士への支払いを節約することができます。(※写真はイメージです/PIXTA)
一般的に、税理士報酬は作業量に応じて報酬を段階的に設定しているので、税理士への支払いを節約することができます。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

いまは、テクノロジーの発達によって、確定申告を誰でも手軽におこなえるようになっています。国税庁のホームページの確定申告書等作成システムも、そのひとつです。私が東京国税局に採用された平成16年の時点では、このようなシステムはなく、確定申告のパンフレットなどを見ながら、手書きで確定申告書をつくっていたものですが、いまはそんな必要はありません。

 

個人事業主であれば、確定申告書だけでなく帳簿をふだんからつくっておく必要がありますが、こちらも会計ソフトを使うことで解決することができます。とくに、近年存在感を増している「クラウド会計」を使えば、月数千円程度で、記帳や確定申告をすることができます。

 

私の場合、クラウド会計ソフトの「freee」を使っていますが、いまやなくてはならないツールになっています。会計や簿記の知識がなくても感覚的に記帳をすることができますし、請求や支払いの管理など、使える機能が豊富です。

 

どうしても税理士に依頼したいという場合でも、クラウド会計を使うことにはメリットがあります。一般的に、税理士報酬は作業量に応じて報酬を段階的に設定しているので、「自分ができるところまではやる」ことで、税理士への支払いを節約することができます。

 

たとえば、ふだんの記帳までは自分でおこない、最後の決算書の取りまとめだけを税理士にお願いするといった方法が考えられます。

 

まずは自分のできるところから、チャレンジしてみましょう。

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確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

小林 義崇

河出書房新社

クイズ形式で出題。ベスト・チョイスはどっちか? 青色申告or白色申告。開業届を出すor出さない。家族を雇うorパートを雇う。iDeCo or小規模企業共済。郵送で申告or e‐Tax。国税専門官として数多くの申告相談に携わった著者…

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