「確定申告するのが面倒くさい」「節税したいけど、どうしたらいいか分からない」……、毎年このような声をよく聞く。日本の税制は、納税者自ら確定申告をする「申告納税制度」で、申告内容の一部は納税者の選択に委ねられているのだ。申告相談に携わった元国税専門官が、節税にはどっちが得なのか、プロの税金術を公開する。本連載は小林義崇著『元国税専門官が教える! 確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?』(河出書房新社) より一部を抜粋し、再編集したものです。

住民税「給与から」「自分で納付」得なのは?

正解:副業を会社に知られたくなければ、「自分で納付」

 

これまでおもに所得税や贈与税の話をしてきましたが、住民税のトピックについても触れておきたいと思います。すでに説明したとおり、所得税の確定申告をすると、その情報が市区町村に引き継がれ、住民税の通知がおこなわれます。

 

そのため、確定申告書のなかには、住民税に関する記載欄がいくつかあります。そのうちのひとつに、「住民税の徴収方法」を選択する欄があるのをご存じでしょうか。「徴収方法」という表現ですが、要は納税方法のことです。

 

住民税の徴収方法について「自分で納付」を確実に選択しておけば、会社への通知から副業がバレるといったことはないという。(※写真はイメージです/PIXTA)
住民税の徴収方法について「自分で納付」を確実に選択しておけば、会社への通知から副業がバレるといったことはないという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

住民税は、給与や公的年金にかかるものであれば源泉徴収がなされますが、その他の所得にかかる住民税については、納税方法をみずから選ぶことができます。

 

確定申告書にある住民税の徴収方法の欄は、「給与から差引き」と「自分で納付」のいずれかに○をつけるかたちになっています。

 

この選択で気をつけたいのが、「給与から差引き」を選ぶと、たとえば秘密にしていた副業が会社にバレるといった事態になる可能性がある点です。

 

会社員をしながら、週末に副業をしていたとしましょう。そうすると、確定申告では給与所得と雑所得を確定申告することになります。

 

この確定申告において、住民税の徴収方法を「給与から差引き」を選んでしまうと、給与所得だけでなく、雑所得にかかる住民税までまとめて会社に通知され、給与から源泉徴収されることになるのです。

 

すると、何が起きるでしょうか。その通知を見た経理担当者などから「同じ給与のはずなのに、AさんよりBさんのほうが、住民税が高い。副業でもしているのでは?」といった疑念を抱かれる可能性があります。

 

かまわないという人もいると思いますが、やはりサラリーマンをしていて、他の収入があることを会社に知られるのは、あまり気持ちのいいことではありません。場合によっては会社の査定に響く可能性も考えられます。

 

事業所得の存在を会社に知らせたくないのであれば、確定申告をする際に、住民税の徴収方法について「自分で納付」を確実に選択しておくことです。これさえ守れれば、会社への通知から副業がバレるといったことはなくなります。

 

ただし、「自分で納付」を選んだ場合、納税忘れにはよくよく注意してください。

 

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確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

小林 義崇

河出書房新社

クイズ形式で出題。ベスト・チョイスはどっちか? 青色申告or白色申告。開業届を出すor出さない。家族を雇うorパートを雇う。iDeCo or小規模企業共済。郵送で申告or e‐Tax。国税専門官として数多くの申告相談に携わった著者…

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