スタートアップ(ベンチャー)企業の中でも、非上場で企業評価額が10億ドルを越えるものを「ユニコーン」と呼びます。世界中の企業家たちがユニコーンを目指して奮闘し、投資家たちはいち早くユニコーンを捕まえようと躍起になっています。スリランカを舞台に闘うスタートアップの姿をお伝えしている連載の最終回です。

規模が大きくなれば、次のステージの米国へ

スリランカのスタートアップ企業にとって、より適切な目標は、ユニコーン企業の目安となる10億ドルではなく、現実味がある1億ドル程度の企業評価を得ることかもしれない。ただし、もしその規模にまで成長できた場合、スリランカ企業として国内に留まり続ける可能性はどれぐらいあるのだろうか。

 

現在ではロンドン証券取引所に上場しているMilleniumIT社のように、小さなスリランカの経済圏で急激に成長する企業はすべて、10億ドル規模の価値が付く前に買収されるかもしれない。

 

また、企業評価が1億ドル規模にまで成長すれば、スタートアップにとっても、より大きなマーケット、つまりアメリカに移ることにはメリットがある。スリランカにはある程度の拠点を残して、アメリカ資本の企業になる場合が多いと考えられる。スリランカの2,000万人という人口では、10億ドルはおろか、1億ドル規模のスタートアップでさえ存続することは難しい。

低コストで優秀なプログラマーを雇えるスリランカ

「その代わり、スリランカにはスタートアップのインキュベーターにとって良い環境が整っています」とコンテンツ・ビジネスを手がけるSamarajiva氏は指摘する。

 

「スタートアップがアメリカで起業をするのは、スタンフォードのような名門大学を卒業した人々が卒業後すぐに仕事を獲得するシリコンバレーのような環境が近くにあるからです。そのような環境下では、資金は潤沢で、銀行システムもきちんと回っていて、社会的な自由も約束されています」

 

スリランカには上記の要素は何一つないにせよ、小さいながらになかなか良質で、教育水準が高く、英語にも抵抗がないユーザー・ベースがきちんと存在している。また優秀なプログラマーを低い賃金で雇えるのも魅力だ。そんなスリランカでBuzzbird社やMoodoo社などが生まれ、そして世界に羽ばたいていったのだ。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年5月に掲載した記事「SEVEN TRUTHS FROM STARTUP FOUNDERS」を、翻訳・編集したものです。

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