スタートアップ(ベンチャー)企業の中でも、非上場で企業評価額が10億ドルを越えるものを「ユニコーン」と呼びます。世界中の企業家たちがユニコーンを目指して奮闘し、投資家たちはいち早くユニコーンを捕まえようと躍起になっています。スリランカを舞台に闘うスタートアップの姿をお伝えしている連載の3回目です。

「失敗が少ない」=「挑戦が少ない」

シリコンバレーの投資家たちは複数の類似したスタートアップに投資することでトレンドを生み出すが、スリランカの投資家たちは1社に全てを投入する。「そういう投資家たちはスタートアップを工場や一般的な事業と同じように見なします。そのため、そのスタートアップが失敗すると、彼らも痛い目に合うわけです」とスリランカでコンテンツ・ビジネスを手がける Samarajiva氏は語る。スリランカの大手ネット通販サイトを経営するPathmalal氏も同じことに不安を覚えている。

 

「ユニコーン」を捕まえる夢物語を投資家たちは信じており、多くのスタートアップ企業も、実際はそんな結果を生み出せないにもかかわらず、儲けを約束するかのように投資家を口説いている。また、スタートアップの失敗例が十分に積み重なっていないスリランカでは、ハイリスク・ハイリターンというメカニズムがきちんと動いていない。そのためスタートアップが成功したとしても、投資家が更なるリスクを背負おうと決断できるほどの大きなリターンを返せていない。

 

「失敗するスタートアップが足りないというのは、十分に挑戦がなされていない証でしょう」とSamarajiva氏は話す。

 

彼によれば、スタートアップに関する夢物語は、現状では稼げていないことに対する言い訳にもなっている。「昔なら、儲けが出ない事業をしていると人に話せば笑われていたでしょう。でも今は、受け入れられてしまっています。これは良いことでもあり、また悪くもあります。何かを挑戦することに対し、ごまかす気持ちが生まれてしまっているのです」

Facebookの成功の裏にも悲惨な苦労話

2016年3月号の『Vanity Fair』誌に掲載されたQ&Aで、Chamath Palihapitiya氏は、Facebookの創業当時の思い出を語って、スタートアップがまとう輝かしいヴェールを剥ぎ取ってみせた。「ご飯はひどいものでしたよ。週2、3回は一緒にランチを食べていましたが、中に蛆が入っていることもありました。でも信じていたので、気にしませんでしたし、Facebookにとどまり続けました」

 

生花のデリバリーを行うKaprukaの創業者でCEOのHerath氏も、同様か、それよりもひどい節約生活をしていたと話す。「スタートアップはスリムな体質であるべきです」と彼は話を始めた。眠れない夜が続き、恋人に振られ、事務所で生活し、片手で食事しながら、もう一方の手で仕事を続ける。これらはスタートアップを起業するうえで共通の現象なのだという。そして彼は少人数のチームで結束し、スタッフを追加しないことを宣言している。「出産制限をかけるのです。採用はこれ以上しません」

 


次回は、投資家との付き合い方と、投資家に求められる役割についてみていきます。

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    この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年5月に掲載した記事「SEVEN TRUTHS FROM STARTUP FOUNDERS」を、翻訳・編集したものです。

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