動物病院の開業では「新規」より「承継」の方が有利な理由

日本の獣医師は高齢になれば8割が廃業する一方で、若手は大多数が困難な新規開業にチャレンジしています。第三者事業承継は、新規開業よりもリスクが低く、引退する獣医師・若い獣医師にとっても、顧客にとってもプラスとなります。本連載は、動物病院事業承継コンサルタントの西川芳彦氏の著書『なぜ8割の動物病院が廃業になるのか』(河出書房)の中から一部を抜粋し、動物病院の第三者事業承継のメリットをご紹介します。

患者を引き継けば早期から「実力」が発揮できる

前回に引き続き、事業承継の10のポイントについて見ていきましょう。

 

2.実力のある獣医師ほど、新規よりも承継による開業の方がいい

 

承継開業された院長の開業についてのコメントで共通していたのは、「承継開業も、新規開業と同じで、技術力などで独立に自信がなければ無理である」という意見でした。

 

また、新規開業と比べて、承継開業では、前院長からカルテを引き継いでいることで開業当日から患者さんが数多く来院します。これは、自分の獣医師としての技能がいきなり問われる場になるという意味でもあります。

 

自分の腕に自信があるなら、新規で始めるよりも承継の方が大きなチャンスを与えてくれます。

カルテ、スタッフ・・・既存のソフトで来院数を確保

3.病院の本当の価値は、「カルテ」にこそある

 

「カルテがあるのとないのとでは、開業当日から来院数に決定的な差がある」。これもまた、承継開業の院長先生の共通認識です。これは新規開業ではありえない、承継開業ならではの特徴と言えるでしょう。

 

新規では自分の好きな場所に病院を作れるとか、全ての新しい最新の医療機械であるといったメリットはありますが、患者さんの数となると、ゼロからのスタートです。

 

承継開業の一番のメリットは、前院長先生が長年かけて築き上げた患者さんの「カルテ」にあります。開業のDMを発送するにしても、リストがあって送るのと、なくて手当たり次第に送るのとでは、リターン、反応が違います。

 

またリストがあれば、ターゲットを絞ってDMを出すこともできるので、効率も期待できますが、リストのない新規開業ではそうはいきません。周辺地域に案内などをばらまいても、来院してくれるのは1%あればいいほうです。

 

さらにこの承継開業では、このカルテの内容をしっかりと理解しているスタッフも引き継ぐことができます。

 

病院建物、医療機械といったハードウェアだけではなく、カルテやスタッフといったソフトウェアをも引き継ぐことで、新規開業ではできないスタートラインに立つことができます。

株式会社メディカルプラザ 代表取締役

1958年滋賀県生まれ。動物病院事業承継コンサルタント。
東京海洋大学卒業。1995年から動物病院の開業コンサルティングを開始、全国に300 件以上の開業支援実績がある。2008年から動物病院の事業承継コンサルティングを開始、全国に80件以上の実績をつくる。動物病院開業セミナーを20年間で計252回開催、日本臨床獣医学フォーラム年次大会にて講演多数。
主な著書に、『なぜ8割の動物病院が廃業になるのか~事業承継の成功事例16~』(河出書房)、『動物病院で獣医師として生きる―新時代の勤務医・開業医スタイル』『ザ・ビジョン―プロフェッショナル獣医師による新型動物病院組織』(以上、アイシーメディックス)、『入門 院長のハッピーリタイア&獣医師のハッピースタート―動物病院の「第三者事業承継」時代がやってきた』(インターズー)ほか多数。無料情報誌「動物病院の事業承継を考える」を全国約1万件に毎年配布している。

著者紹介

連載医師も顧客も幸せになる「動物病院の第三者事業承継」

なぜ8割の動物病院が 廃業になるのか

なぜ8割の動物病院が 廃業になるのか

西川 芳彦

河出書房

ペットを飼っている人ならしばしばお世話になる動物病院。しかし、この動物病院の8割が、院長の引退と共に廃業していることをご存知だろうか。 今の日本の獣医業界は、大多数の獣医師が引退して廃業し、大多数の獣医師が新規開…

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